『少年とリング屋』 TAJIRI 25-67-3463
中学3年生の翔悟はプロレスが大好き、というか、人生をプロレスに捧げたいと思っていた。でも、どうやったらプロレスの世界へ入れるのかは分かっていなかった。だから、無理やり飛び込んでしまえと思ったのかもしれない。
プロレスの興業が終わるとリングをトラックに乗せて次の会場へと移動することは知っていた。だから、そのトラックに忍び込めれば、何とかなるんじゃないかと思った。ドラックの運転手はいかついオヤジだった。なんとか彼に見つからずに荷台に忍び込んだ。
プロレスに対する憧れを持つ人は大勢います。プロレスラーになりたいと思う人もいれば、推しのレスラーに熱を上げる人もいます。子どもの頃から大好きっていう人も、大人になってから出会ってしまった人も、一度心を掴まれてしまったら、もう逃げられない。会場で推しの選手のTシャツを着て、大声で声援し、帰りには物販でサインをもらったり、握手してもらったり、毎日のつらさもどこかへ吹っ飛んでしまうのです。
・少年とリング屋
・醜い顔
・かっこいい女
・全然満足していません
・俺は何者
・夢の結末
・エピローグ
女子プロレスラーを追っかける男、たとえキモオタと言われても、「そうですよ、それが?」と言えるくらい、達観しているところがイイよね。プロレスラーになるはずだったのに、ケガしてそれが無理になったけど、リング屋さんになった権田さん、あなたもカッコいい。
TAJIRI が描く人たちはみんな、情けなくって、汗くさくって、ダメなことばっかりだけど、一生懸命に生きている。そうだよね、誰からも認められなくったって、生きていく。だって、プロレスが好きだから。
3463冊目(今年67冊目)
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