『八犬伝 上』 山田風太郎 25-83-3479
この当時、滝沢馬琴は家族は別の家へ住まわせ、飯田町の小さな家を仕事場にしています。外出するのが大嫌いな馬琴は、本棚だらけのこの家で執筆活動にいそしんでいたのです。逆に葛飾北斎はやたらとフットワークが良くて、全国各地に取材に行くし、しょっちゅう引越をしていていました。
北斎が久し振りに馬琴の家へ訪れ、馬琴が「これからこういう話を書こうとしている」という話を北斎にすると、なかなか面白い話じゃないかと言ってくれました。そこで北斎に、この作品の挿絵を描いてくれと頼んでも、いやそれは娘婿の柳川重信に書かせればいいと言われて、ちょっとガッカリです。
北斎も馬琴も似た者同士で、才能はあるけれど、やりたいことしかやらない、口が悪い、家族というものに興味がないし、一般常識なんかクソくらえなのです。お互いに変人だなと思ってるけど、才能は認め合っていて、話は合うというところがいいなぁ。
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の霊玉を持つ八犬士のうち、上巻では6人が登場しますが、彼らが暴れ回っている場所が、意外と我が家から近い所なので、「へぇ~」と思う地名が多くてビックリです。
NHKで放送していた「新八犬伝」は見ていましたけど、「玉梓が怨霊」の記憶くらいしかないわたしにとって、初めて出会う物語のような気持ちで読み進めました。
・虚の世界 伏姫
・実の世界 江戸飯田町
・虚の世界 犬士出現
・実の世界 江戸飯田町
・虚の世界 犬士出現
・実の世界 江戸飯田町
・虚の世界 犬士出現
馬琴の「南総里見八犬伝」という「虚の世界」と、馬琴と北斎の「実の世界」が交錯するところがとても面白いです。下巻はどうなっていくやら、とても楽しみです。
3479冊目(今年83冊目)
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