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  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

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『豆の上で眠る』 湊かなえ 25-78-3474

Mamenouede

豆の上で眠る

湊かなえ(みなと かなえ)

新潮文庫

 結衣子が小学校一年生の時に、2歳上の姉・万祐子が失踪し、必死に探したけれど姉は見つかりませんでした。ところが2年後、突然姉が戻ってきました。でも、その顔を見た結衣子は直感で「この人は姉ではないと」わかったのです。

 失踪前のことをいろいろと聞いてみると、それなりに答えてくる。でも、絶対に彼女は別人だと結衣子は確信していました。だって、子どもの頃に転んで怪我をして、右目の横に豆のさや形の傷跡があったのに、その傷跡がないんだから。お箸の持ち方が下手なのも変だし、猫アレルギーだってなかったはず。

 

 学校の子どもたちや、近所の人たちが、失踪について影で噂話をしていることは、この家族にとって、特に母親にとっては大きなプレッシャーでした。警察に任せておいても埒が明かないと、自分で調べ回っていることまでが、みんなの噂話のネタになってしまうのです。結衣子はそういうことに敏感に反応してしまいます。姉が戻ってくるまで、自分は笑っちゃいけないんじゃないかとまで思い詰めています。

 誘拐なのか、事故なのかわからないけど、家族が一人いなくなったことによって、それまでのバランスがくずれていくところとか。祖母や祖父のデリカシーのない言葉や、近所の人たちからの好奇の目、本当はそうじゃないのかもしれないけど、あの人たちからこんなこと言われてるんだろうなぁって想像してしまうところとか。さすが湊さん、いろんな場面で嫌な感じが漂っています。

 ラストの違和感の秘密が明かされたところは、どうにもやり切れない感じだなぁ。これが真相なんだから納得してよって言われても、妹の結衣子にとっては、納得できないもの。ああ、やるせない!

 姉妹が幼い頃に読んだというアンデルセン童話の「えんどうまめのうえにねたおひめさま」も読んでみました。ベッドの上にあった小さなえんどうまめの固さに気づいたお姫さまの話は、小さな違和感を抱き続けた結衣子の気持ちと見事にシンクロしていていました

3474冊目(今年78冊目)

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