『奇想の江戸挿絵』 辻惟雄 25-62-3458
江戸時代に出版された本をながめていて、最初に感じるのは「文字を読むのが大変だ」ということです。主に行書で書かれた文字なので、当時の読者たちはスラスラ読んだのだろうけど、わたしにとってはとても難解です。でも、挿絵の方は実に分かりやすい!文字はたいして読めなかったとしても、絵だけでも楽しめてしまうところが凄い。
特にお化け、妖怪のたぐいは、言葉をどんなに尽くしても絵には敵いません。怖い顔、おどろおどろしい姿、巨大な姿、荒々しい自然。白黒の絵なのに、どうしてこんなに血なまぐささが伝わってくるのだろう? どうして吹きすさぶ風を感じるんだろう? 地獄ってこんな感じ? そのアイデアの豊富さに圧倒されてしまいます。
こういう絵を描かせたら北斎の右に出る者はいないっていうのは、何なのでしょうね? 絵が上手いのはもちろんだけど、構図とか、画面の端の方にある小物だとか、そういうセンスが飛びぬけて素晴らしいのには恐れ入ってしまいます。「画狂老人卍」と名乗るくらい、絵が好きで好きでしょうがなかったからこそ、あんなにたくさんの素晴らしい絵を描けたのでしょうね。
お化けなんだけど、ちょっと愛嬌のある顔をしていたリ、吹き出しのようなセリフがあったり、日本のマンガの原点はこういうところにあるのかなぁ。ことばを超えた絵の力があるからこそ、世界から注目を浴びるということなのかなぁ。とにかくすごいなぁ。これは日本の誇りだと思う。
3458冊目(今年62冊目)
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