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  • ダメでもいいからやれ。
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    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

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『ホワイトバード』 R. J. パラシオ 25-57-3453

Whitebird

ホワイトバード
White Bird

R. J. パラシオ
R. J. Palacio

中井はるの(なかい はるの)訳

ほるぷ出版

 ワンダーで、とんでもないいじめっ子だったジュリアン。彼はそれが原因で転校することになりました。「もうひとつのワンダー」で、お祖母ちゃんの子ども時代の話を少し聞いていました。そして今回は、学校の宿題でお祖母ちゃんの子どもの頃の話を聞いて作文を書こうと思ったのです。お祖母ちゃんが語ってくれたのは、恐ろしい戦争の記憶でした。

 

 フランス生まれのお祖母ちゃん(サラ)は幸せな家庭で育ちました。休みの日には両親と3人でピクニックへ行ったり、学校には仲良しの友達がいたり、楽しい毎日でした。でも、フランスはナチスドイツから占領されそうになってきて、ユダヤ人はいろんな差別を受けるようになります。学校の先生だったお母さんは、ユダヤ人だというだけで解雇されてしまいました。

 ある朝、お父さんから今日は寒くなりそうだからブーツを履いて学校へ行きなさいと言われたのだけれど、サラは赤いおしゃれな靴を履いて学校へ行きました。授業中に突然、何人かの子が校長先生から呼び出されて「森へ逃げなさい」と言われたのです。他の子たちは森へ走っていくのに、サラは建物の上の階からそれをながめることしかできませんでした。そして、見てしまったのです。助けに来た人たちと森へ逃げるはずの子たちが撃たれるのを。

 サラの隣の席のトゥルートは小児麻痺のせいで、足が不自由でした。そのせいでトゥルート(かに)とうあだ名で呼ばれ、お父さんの仕事のせいもあって、みんなから相手にされず、サラだってほとんど話をしたことがありませんでした。その彼が、サラを救ってくれたのです。両親に話をして、家の納屋にかくまってくれたのです。

 彼の本当の名前はジュリアンでした。ジュリアンと両親は、サラのために献身的に尽くしてくれました。最初はそんなに長く続くとは思わなかった隠れ家での生活は何年も続きました。

 

 いろんな悲しいことやつらいことがあって、でもサラは生きのびました。結婚して生まれた子どもに恩人との思い出のために「ジュリアン」と名付けました。そして、孫もジュリアンという名を継ぎました。

 あのジュリアンがいたからこそ、現代に生きるジュリアンは生まれたのです。お祖母ちゃんにとって、とてもつらい話だったけれど、でもジュリアンにとってとても大事な話を聞くことができました。これから彼は、お祖母ちゃんの想いを継ぐ人に生まれ変わっていくのでしょう。何よりも平和を守ろうとする人に。

 

ワンダー
もうひとつのワンダー
ホワイトバード

3453冊目(今年57冊目)

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