『韓国消滅』 鈴置高史 25-77-3473
韓国の2023年の合計特殊出生率は0.72(日本は1.20)、2024年にやや上昇して0.75、いずれにしても1を切ってしまっているのは世界中で韓国だけです。更に、韓国はOECD加盟国の中で自殺率が最も高い国で、2020年人口10万人あたりの自殺数24.1(日本は15.4)です。
生産年齢人口(15~64歳)のピークは2019年で、働き手はこれから急速に減っていきます。1995年に生産年齢人口のピークを迎えた日本は、その後長いデフレになりましたが、韓国も同じような道を歩むことになると著者は予測しています。
2023年の外国人人口は193万人で、これは前年比10.4%増。一方、韓国人は0.2%減の4983万人。いつの間にやら5000万人を切っていたのですね。
韓国では「永住権を取得後、3年経てば外国籍のままで地方参政権を得られる」のだそうです。2022年6月の地方選では外国人有権者が12万7000人で、そのうち10万人は中国人だったというのです。ということは、韓国での中国人比率は上がっていくと考えるのが自然でしょう。
2019年以降の5年間、国籍放棄者は年平均2万7361人。人口が2倍以上の日本が10分の1以下の2676人だから、自分の国に見切りをつける韓国人がいかに多いか分かる。国籍放棄者の予備軍である海外移住者も右肩上がりである。
出生率が低い、自殺者が多い、そして外国へ出て行ってしまう人が増えているというのには驚くばかりです。
そうなった理由として挙げられるのがIMF危機です。韓国は、1997年にアジア通貨危機の影響でIMF(国際通貨基金)から緊急融資を申請し、通貨危機を経験しました。また、2008年にも世界金融危機の影響で通貨危機が発生しています。
もし、IMF危機が起きていなかったら階級格差への不満は高まらず、映画「パラサイト 半地下の家族」(2019年)は生まれず、カンヌ国際映画祭で韓国初の最高賞を取ることもなかったろう。
韓国の都市部での住居費の高騰はとんでもない状態です。家賃が安い半地下に住むしかない低所得層と、タワマンに住む高所得層という階級格差は広まるばかり。
そもそも、何故韓国はここまで酷い状態になってしまったのか? という点が私の疑問点だったのですが、その原因が意外なところにあることを、この本で知りました。
韓国は、アメリカの同盟国だったはずなのに、中国にすり寄ってる事が増え、アメリカから見切られたからこそIMF危機が起きたのだと著者は言っています。アメリカと中国の間にいるというバランスを見失ったのか、それとも中国の方が怖いと思っているからなのか。
そして、政権が変わるたびに前政権のトップが逮捕されたり、それまでの行動を否定されることが余りにも多いというのも、韓国の弱体化の一端です。そんなことを続けていたら、国としての一貫性が保たれません。一度約束したことが、将来も守られるという保証のない国は、当然信用も無くします。
弱体化した韓国が少しずつ「中国化」していくというストーリーは、日本にも当てはまっているようで、何だか怖いです。日本に定期的に遊びに来る中国人が晴海フラッグの物件を購入しているという話も聞きますから、韓国の状況は明日の日本なんだろうなぁ。
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