『父の回数』 王谷晶 25-110-3506
以前に読んだ「ババヤガの夜」が良くてね。この本も、結構変な話をしてるんだけど、すぅっと読めちゃう。登場する人たちは世間の真ん中じゃなくて、端の方にいる人ばっかり。女ふたりのカップルとか、父親が死んだという連絡をもらって、始めて自分に兄弟がいることを知った人とか、年上の彼女が消えてしまってオロオロする男とか。いるいる、こういう人。本人は真面目に生きているつもりなんだろうだけど、どこかいい加減な人たち。
でもね、よく考えてみるとみんな被害者なのよ。「おねえちゃんの儀」では、公営住宅に住みたくても、そこを借りる条件として夫婦か家族って規定があるから、戸籍上他人の女ふたりだと、そこには住めないのよね。だから姉と妹ということにして借りてる。世の中の不公平を率先してやってるのは、やっぱり役所なんだよなぁ。結婚だけなく、同棲すらも邪魔してくるのって、ひどい話。
一番好きだったのは「リワインド」。かつてバイト仲間だった子を助けようとするのだけど、なかなか上手くいかなくて、何度も何度も同じことを繰り返していくところが面白い。繰り返していくうちに少しずつ利口になっていくところが、「おお、やるじゃん」って感じで楽しい。
・おねえちゃんの儀
・あのコを知ってる?
・リワインド
・父の回数
・かたす・ほかす・ふてる
この本も面白かったので、他の本も探してみようかな。
#父の回数 #NetGalleyJP
3506冊目(今年110冊目)
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