『その日暮らし』 坂口恭平 25-105-3501
これまで読んだ坂口恭平さんの本の中でも躁鬱について書かれてきましたが、この本では、躁鬱の揺れ幅の大きさをとても感じました。
家族と一緒に暮らしているけれど、鬱の時には部屋に閉じこもって家族と会わないようにしている恭平さん。ひとりで絵を描いたり、文章を書いたり、何かしていないといけないという気持ちになる、でも動くのがつらい。鬱の時に描いた絵は、自分ではダメだなぁと思うのだけど、人に見せると意外と良い反応があることが多いことの彼自身驚いています。鬱の時は、絵を描くことだけに集中しているから、それがいいのかもしれないと恭平さんは分析しています。
恭平さんは、鬱の時の自分の姿を家族に見られたくないという気持ちと葛藤します。そして家族とそれについて話し合います。息子のゲン、娘のアオ、妻のフー、3人とも恭平さんのことをよくわかっていて、「本当は寂しいんでしょ、だったら、そう言えばいいじゃない。一緒にいてあげるから」と言ってくれます。そうか、そうだったんだと思えたところがとても素晴らしいと思いました。お互いを受け入れて一緒に暮らす、これが、家族なんだよね。
この本の装幀に使われている絵は、恭平さんが書いたものです。躁の時の恭平さんからは考えられないほど繊細な草花の絵です。彼の絵はとてもステキです。
自分と同じように鬱になり、自殺をしようとする人をひとりでも多く助けようとして、彼は「いのっちの電話」をずっとやっています。自分の携帯電話番号を公開して、電話に出られる時にはいつでも話をしてくれます。
恭平さんの生き方は、大変なものを抱えているけれど、とても清々しいのです。彼のように、自分自身ときちんと向かい合うことを、わたしも見習わなければと思うのです。
3501冊目(今年105冊目)
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