『<弱いロボット>の思考』 岡田美智男 25-116-3512
わたしはロボットが好きです。たぶんそれは、子どもの頃にアトムと出会ったことが大きいのだと思います。科学者たちは、アトムのように人間と同じような姿をしていたリ、優秀な頭脳を持っていたりするロボットを一生懸命に開発してきました。
でも、それだけじゃない何かがあるんじゃないかと著者の岡田さんは考えたのです。自分ではゴミを拾えず、人のそばに移動して行って「ゴミ拾ってくれる?」とお願いする「ゴミ箱ロボット」。たどたどしく話すロボット。一緒に手をつないで歩くだけのロボット。そんな、余り役に立たない(弱い)ロボットの存在価値ってあるのじゃないかと研究を始めました。
二足歩行するロボット「アシモ」の話も登場します。わたしはアシモが結構好きで、アシモが歩くデモンストレーションを見に行ったこともあります。家の近所のおじいさんがリュックを背負って少し前傾姿勢で歩く姿を見て、「アシモみたい」と思うこともあります。
最近はファミレスに配膳用ロボット、店頭や図書館に案内用ロボット、ショッピングビルに警備や清掃用のロボットがいたりと、役に立つロボットが大勢いますけど、何だか可愛げがない子が多いなぁというのが正直なところです。だから「弱いロボット」が醸し出す親しみやすさとか、触りたくなってしまう感じとか、そういうことってとても大事だと考えています。
スターウォーズで、C-3POとR2D2を見ていて、圧倒的にR2D2が可愛いと感じてしまうのは、そういう部分が加味されているからなのでしょうね。機能のデザインをするのは理詰めでいけるけど、ちょっとした動きとか、ニュアンスのデザインは心理的なことなどもあるので、これまでの技術者とは違うタイプの人の力を借りることが必要なのでしょうね。
「かわいい」が得意な日本人ですから、「弱いロボット」にもそういうセンスが生かされる日が、近いうちにやって来るのだと信じています。
3512冊目(今年116冊目)
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