『君の六月は凍る』 王谷晶 25-117-3513
・君の六月は凍る
30年前、わたしは君と一緒にいたかった。君のにおいをかぎたかった。君とふたりだけの世界で暮らしたかった。
主人公の一人語りなのだけど、君と呼ぶ同級生との関係にのめり込むところが、なんとも言えなくゾワゾワする。友情というよりも恋愛感情のような感情を持った自分、二度と会えなくなった原因を作ったのも自分。
・ベイビー、イッツ・お東京さま
シェアハウスに住む28歳、仕事は警備員、生活は決して楽じゃないけど、同人誌へ小説を投稿することで心の平静を保ってる。
この話の主人公は、王谷さんなのかなぁ。実家から飛び出して東京へやってきたけれど、夢に見ていたような東京生活じゃなくて、どこかなげやりだけど、仕事はしなきゃ生きられないってことはわかってる。これが現実だ!って感じ。
いろんな現場へ行くと、そこにはイイ人もいれば、イヤな人もいる。イヤな人がかけてくるイヤな言葉や空気をやり過ごすところは、「この人、繊細な自分を隠して生きてるんだろうな」という雰囲気が漂っている。大して明るくもないだろう明日に向かって生き続けていくのって、つらいよね。
そんな体験が王谷さんの作風になってるのかな?
3513冊目(今年117冊目)
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