『会う力』 早川洋平 25-148-3544
いつもポッドキャストで聞いている「石田衣良の大人の放課後ラジオ」の司会をしている「プロインタビューア」の早川洋平さんが初めて出した本です。これまでも、衣良さんからとにかく本を出しなよと言われていたのに、なかなか出せなかった理由などが著者インタビューで語られているので、こちらも合わせて聞いてみると面白いです。
早川さんは、以前の仕事に就いている時に、このままでいいのか?と疑問を持ちました。このまま働き続けていって、死ぬときに後悔したくないと思い、その時にひらめいたのが「憧れの人やすごい人に直接会って話を聞く仕事がしたい」ということだったそうです。
といっても、早川さんはどちらかと言えば人見知りだし、面倒くさがりなのです。そんな彼が、インタビューアとして2000人もの人に話を聞き続けてこられたのはなぜか?がこの本の中で語られています。
今まで面識がない人にどうやって会ってもらうのかを考えた時に、「誰かに紹介してもらう」という手がありますが、早川さんはできるだけ自力でやりたいのです。自分が何故あなたに会いたいのか、あなたに何を聞きたいのか、あなたのどこに魅力を感じているのか、そういうことを相手に伝え、自分に関心を持ってもらえて始めて、直接お話を聞かせていただくことができると考えています。
これまでに出版社から本を出版する企画をいくつかオファーされてきたのですが、ほとんどが「人脈を作るには」的な企画だったのだそうです。でも、早川さんは「人脈」という考え方が嫌いなのです。この本のテーマでもある「会う力」について書きたかったから、その内容で出せるようになるまでに15年かかったというのです。
この本の中で語られているアポを取るための様々な手法は、決して有名な人に会うためだけのものではありません。どんな人にも、会ってみたい人、話をしてみたい人がいます。その気持ちを伝えるには、その相手を探すには、どうすればいいのかを書いたつもりだとおっしゃっています。
相手の話を伺える幸せ、それを他の人にも伝えられる幸せ、話をしてくださったことによって、その方が何かに気づけるという幸せ、この「三方よし」の状態を作り出すことが早川さんの望みなのです。
メールでも、電話でも、ネット会議でもなく、直接お会いすることでしか得られないこと、そこに早川さんが求めるものがあるということを知り、確かにその通りだなと思い、早川さんって凄い人だと改めて感じました。
そして、これからの時代には、「会う力」こそが、生き残る力なのだと確信しました。
3544冊目(今年148冊目)
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