『ディア・オールド・ニュータウン』 小野寺史宜 25-124-3520
鳴樹は、実家の日本そば屋を再開することにしました。「蜜葉市みつば」の町は、この一家が引っ越してきたころはニュータウンだったのですが、気がついたらすっかりオールドタウン化し、駅前以外には店がほとんどない場所になっていました。ここで、出前もするそば屋ならやっていけるのではないかと、鳴樹は考えました。でも、出前もするということは、一人では無理です。幼馴染の小枝に声を掛け二人で日本そば店「ささはら」をやっていくことにしたのです。
ある日、出前へ行った先で久し振りに会った和太は、ちょっと困りものの青年になっていました。この子をこのままにしておけないと、鳴樹は和太にある提案をしたのです。
お店にやって来る人、出前を頼んでくれる人、ほとんどが「みつば」か「四葉」に住む人たちです。ですから、懐かしい人たちが大勢登場します。
・「本日も教官なり」のみつば自動車教習所の教官、益子豊士さん
・「みつばの郵便屋さん」の秋宏さんの奥さんで、翻訳家の三好たまきさん
・「ホケツ!」のみつば高校サッカー部の宮島くん
・「食っちゃ寝て書いて」の小説家、横尾成吾さん
・四葉のバー「ソーアン」
・「ひと」「いえ」に登場する砂町銀座「田野倉」のコロッケ
・横尾誠吾さん原作の映画「キノカ」 この映画の話は「タクジョ!」にも登場していました。
この4篇が収められています。
・冬 木場忠道と鴨南蛮
・春 洞口和太とかつ丼
・夏 荒瀬康恵ときつねそば
・秋から冬 星川心奈と親子丼
鳴樹が出前へ行った先でお客さんと話をするところが、「みつばの郵便屋さん」と同じような優しい感覚があって、こういう人とのふれあいっていいなぁって思います。
最後の方で、益子さんが四葉からみつばに引越してきました。この物語も続編がありそうな予感がします。
3520冊目(今年124冊目)
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