『発達障害は治りますか』 神田橋條治 25-125-3521
これだけ当事者の本がいっぱい出ているのに、どうして発達障害はよくならないという考えを変えないのかねえ。
ひとつは親のせいにされていた時期が長くて、その名誉回復のために生れつきの生涯だって強調しなきゃいけない時期があったのは理解できるんですけどね。治るというよりは改善されるんですよね。P22
自閉症児が自分の頭をぶつけたりするのは、全部フラッシュバックのようです。きっと頭の中が苦しいんですよ。自閉症の小さな子は、苦しさを説明できない。でもフラッシュバックの漢方を処方すると、他の症状は消えなくても、頭ぶつけるのだけは消える、もしくは著しく減ります。P44
悲惨なのは、双極性障害であるにもかかわらず、よそでうつ病とか神経症とか診断されて、精神科に行って、抗うつ剤や抗不安薬を投与されて一生懸命に治療されたケースです。本人も真面目に医者に信頼をフィードバックするもんだから医者も一生懸命治療して、熱心な診療行為が行動療法的に強化されて、そうなるとわけが分からない状態になっていきます。
~中略~
薬をガバッと飲んだり、あるいは物を壊したりね。そうすると今度は人格障害という診断がつきます。人格障害の完成です。P73
初期の段階で診断を間違えると、二次障害が起きたり、最悪はどうにもならない状態になったりするというのは、本当に怖い話です。でも、症状の見極めをちゃんとできない医師が世の中には大勢いるから、そういうことが良く起きるというのです。
子どもの頃から服用していた薬を大人になったからといって急にやめさせる医師もいるのだそうです。マニュアルにはそう書いてあるかもしれないけど、症状には個人差がありますから、杓子定規な対応ではマズイということを分からない医師が多いのも確かです。
精神的なストレスと身体的なストレスのバランスは明らかに取れていないですよね。昔であれば精神的な興奮が起こるのは狩りをするとか獲物をとるとか天敵から逃げる時だったわけですから、そういうときは興奮物質が脳の中で多くなっても、運動で使いきっていたでしょう。でも今は興奮が高まっても運動で発散することもできないから、興奮物質が自分への攻撃につながってしまうことが多いんじゃないでしょうか。
つまりストレスを解消するには、運動がとても有効だといういうことです。これは、特別な障害を持つ人だけでなく、一般の人にも言えることなのだと思います。子どもの頃から外で暴れることなく育った人は、ストレスを感じた時に自分に攻撃をするようになるというのです。近ごろのニュースを見ていると、そうか、それだったんだと思うことばかりです。
この本の中で「脳を鍛えるには運動しかない!」の話も出てきました。人間は動物なのだから、じっとしていたら身体にもメンタルにもよくないのだと確信しました。
この本に書かれていることは、わたしがこれまで知らなかったことだらけでした。でも、腑に落ちることばかりでした。
「発達障害者は発達する」つまり、普通の人と比べたらゆっくりかもしれないけれど、少しずつできることが増えていくという神田橋さんの言葉に救われるような気持ちになりました。どんな人でも、少しずつ発達していく、そう信じて生きていこうと思います。
坂口恭平さんの「まとまらない人」で紹介されていたこの本を読んで、本当に良かった!
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