『こうしてぼくはスパイになった』 デボラ・ホプキンソン 25-141-3537
こうしてぼくはスパイになった
How I Become a Spy:A Mystery of WWII London
デボラ・ホプキンソン
Deborah Hopkinson
服部京子(はっとり きょうこ)訳
東京創元社
英国
1944年2月ロンドンの街はナチス・ドイツからの空襲が続いていました。バーディは13歳、民間防衛隊の伝令係として、初めての任務についていました。当時は電話などの通信網がなかったので、子どもたちが自転車で伝令の仕事をしていたのです。
相棒の救助犬リトル・ルーを乗せて自転車で現場へ急ぐバーディは、女の子にぶつかってしまいます。彼女が立ち去った後、そこには一冊のノートが落ちていました。そのノートを返すために、名前でも書いてないかとノートを開いてみると、そこには暗号で書かれた文章が書かれていたのです。
あの時にぶつかった女の子・エレノアを見つけることは出来ました。彼女の話によると、あのノートは彼女の家庭教師だったフランス人のヴァイオレットから預かったものだったのです。ヴァイオレットはどこへ行ってしまったのか分からないので、その行方を追うためにも暗号を解かなければと考えたバーディとエレノアでした。
当時、ナチス・ドイツはフランスを占領し、イギリスのすぐ目の前まで来ている状態でした。この状況を何とかするために連合軍は、後に史上最大の作戦と呼ばれた「ノルマンディ上陸作戦」を計画していました。そのためにフランスに多くの諜報員が送り込まれ、その中の一人がヴァイオレットだったということが、この手帳からわかってきました。
暗号を解くために力を貸してくれたディヴィッドは、ドイツから逃れてきたユダヤ人の少年でした。両親の消息は全くわかりません。バーディーの家は空襲で壊され、その時にけがをした兄は田舎のお祖母さんの家に疎開しています。バーディの家では愛犬リトル・ルーと一緒に暮らしていますが、食糧難のこの時代、多くの家の犬や猫たちは殺されてしまっています。
ロンドン空襲という事実は知っていても、街で暮らす人たちのこういう話は初めて知ることばかり。戦争は本当に恐ろしいことです。
暗号を解くために本を探しに行ったのはチャリング・クロスロード84番地の「マークス書店」。「ネルソン記念柱」がで待ち合わせをしたり。ベイカーストリート64番地にある「相互勤務調査局」、ここはもちろんシャーロック・ホームズの聖地です。暗号を解こうとする少年たちですから、シャーロック・ホームズの話がいろいろと登場して、戦時中であっても小さな楽しみを忘れないところが、ステキだなと思いました。
ノルマンディ上陸作戦はヨーロッパの人たちにとっては大事な出来事としてみんなの記憶に残っていますが、日本の若者や子供たちで知っている人はわずかではないでしょうか。今も世界中で戦争がなくなりません。それが、普通の人たちをいかに苦しめることなのかを知るためにも、こういう本を読んでくれる人がひとりでも多くいますようにと祈ります。
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