『コーリャと少年探偵団』 柳広司 25-138-3534
「カラマーゾフの兄弟」というタイトルは知っていても、なかなか手を出せずにいる小説です。でも、それを元にして柳広司さんが書いた作品ならきっと楽しめるだろうという思いで、この作品を読んでみました。
13歳の少年コーリャは、カラマーゾフの屋敷がある町で暮らしています。自由奔放な長男ドミトリー、理知的な次男イワン、修道院に入った三男アリョーシャ、この3兄弟の父フョードルが死んだ、それも殺人事件だ!ということで、町中がその噂でもちきりです。コーリャももちろん、この事件にとても興味を持ちました。自分たちで少年探偵団を結成し、独自に捜査をしようと思ったのです。
犯人として疑われたのは長男のドミトリーでした。元々父親と仲が悪かったし、父親が殺されたすぐ後に大金を使っていたという証言もあって、金目当てで父親を殺したのでは?という説が有力でした。町の人たちの多くは、ドミトリーならやりそうなことだと言います。でも、ドミトリーと親しい人は、「父親を殺すかもしれないが金は奪わないだろう」というのです。
いよいよ裁判となり、裁判所には多くの傍聴人が集まってきました。コーリャは傍聴席へは入れないので、屋根裏で聞き耳を立てています。
登場人物たちが、みんな余りいい人ではない感じが漂っています。ドミトリーの婚約者はいったいどちらの味方なのか分からないことばかり言うし、次男のイワンは一家の一大事なのに冷静というよりも、冷たい感じだし。ドミトリーは真犯人ではなさそうだけど、衝動的に行動してしまう人で善悪の感覚が余りない人と言う感じです。そして、殺されてしまった父フョードルさんについてはあまり語られていませんが、彼を誉める人は一人も出てきませんでした。
少年探偵団を結成したコーリャはまだ13歳で、親分肌ではあるけれど、自分を慕ってきた子に対して高圧的な態度を取ってしまう所が、やっぱりロシア人なのかなぁ?なんて思ってしまいました。
「カラマーゾフの兄弟」には、もっとドロドロした人間関係が登場するのでしょうか?
#コーリャと少年探偵団 #NetGalleyJP
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