『サンショウウオの四十九日』 朝比奈秋 25-127-3523
杏と瞬は双子の姉妹、彼女たちの父は不思議な生まれ方をしたそうだ。祖母が子供を産んだときは、男の子を1人生んだのだとみんな思っていた。でも、数カ月後にこの子(伯父)の具合が悪くなり、調べてみると体内にもう1人の胎児がいて、その子が後に彼女たちの父となった。こういうのを胎児内胎児というらしい。更に、もう1人別の胎児がいて、こちらは不完全な形だった。だから、本当は3つ子だったらしい。
この話を読んでいて、昔読んだ手塚治虫の「嚢」という作品のことを思い出しました。ある女性の体内に残っていた胎児内胎児が意識を持っていて、時々表面に見えている女性の意識と入れ替わるという話でした。だから、杏と瞬もそういう関係かと思ったのです。でも、違っていたのです、2人は完全に1つの身体を共有する双子だったのです。
杏と瞬のどちらがが語っているのがほとんどだけど、2人が会話している部分もあって、とても不思議なシチュエーションなんだけど、でもとても自然に感じる辺り、それだけ文章がうまいってことなんだろう。
1つの頭蓋骨の中に2人分の脳があって、それぞれの意志がある。臓器は混在していたリ共有していたりするけれど、その入れ物である胴体は1つしかない。だから同意して動くこともあれば、しょうがないから付き合っているということもあるという生活を想像すると、どうにも苦しいなぁ。
どこへでも出かけられるけど、決して1人にはなれないって・・・
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