『疲労とはなにか』 近藤一博 25-144-3540
うつ病の原因は「心の弱さ」ではない。疲労が高じ、ヒトヘルペスウイルス6が再活性化することで、うつ病の原因遺伝子が発現する。この遺伝子を発見した著者は、ダークサイドの力を操る『スターウォーズ』の暗黒卿にちなんで「SITH-1」(シスワン)と命名した。 (書籍紹介 より)
疲れは、「生理的疲労」と「病的疲労」の2種類に大別されるのだそうです。1日休めば回復するのが「生理的疲労」です。一方、何か月も続き、ちょっと休んだくらいでは回復しない状態が「病的疲労」です。なるほど、歳を取った人だけでなく、若い人でも、それこそ小学生でも「病的疲労」に該当する人が増えています。この「病的疲労」によって脳内炎症が生じ、「うつ病」が生じるというのです。
新型コロナの後遺症として、疲労感、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、睡眠障害などが確認されていますが、こういった症状が、うつ病と酷似しています。これらの症状の脳内炎症が原因です。そこで、うつ病と新型コロナ後遺症の根本原因は同じなのではないかと著者は考えたのです。
様々な研究から、うつ病を阻止するためには「病的疲労」にならないことが必須だということがわかったのですが、そもそも疲労に関する認識が日本人と欧米人では違うという所が、興味深かったです。欧米人の場合は「疲れるほど仕事をしたらすぐ休む」、「疲労は悪である」と考えるのに対して、日本人は「疲れたけど達成感がある」とか「心地よい疲れ」と感じる人が多いのです。
疲労に対する嫌悪感が低いために、過労死に至る日本人が多いというのは、妙に納得できるとともに、悲しい事実だと思います。
過度なトレーニングをしているアスリートは「うつ」になりやすいというのも、もっと知られていいことなのだと思います。周囲の期待に応えるために頑張り過ぎて死んでしまった円谷選手も、この症状だったのかもしれません。
「病的疲労」にならないためには「軽い運動」が良いのだそうです。ただし、頑張り過ぎてはいけないのです。運動しすぎて「病的疲労」になったら本末転倒ですものね。
3540冊目(今年144冊目)
« 『耳に棲むもの』 小川洋子 25-143-3539 | トップページ | 『The Tale of Jemima Puddle-Duck』 Beatrix Potter 25-145-3541 »
「新書」カテゴリの記事
- 『数学者に「終活」という解はない』 秋山仁 26-98-3857(2026.04.08)
- 『考察する若者たち』 三宅香帆 26-73-3832(2026.03.15)
- 『書きたいことがない人のための日記入門』 pha 26-74-3833(2026.03.16)
- 『大相撲名伯楽の極意』 九代伊勢ケ濱正也 26-10-3769(2026.01.11)
- 『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか』 白鳥和生 26-4-3763(2026.01.05)
「心・脳・身体」カテゴリの記事
- 『結局、自律神経がすべて解決してくれる』 小林弘幸 26-47-3806(2026.02.17)
- 『老いる自分をゆるしてあげる。』 上大岡トメ 26-45-3804(2026.02.15)
- 『記憶する体』 伊藤亜紗 25-328-3724(2025.11.26)
- 『知ってるつもり:無知の科学』 スティーブン・スローマン、フィリップ・ファーンバック 25-303-3699(2025.11.01)
- 『サイボーグになる』 キム・チョヨプ、キム・ウォニョン 25-294-3690(2025.10.23)
「日本の作家 か行」カテゴリの記事
- 『戦争とバスタオル』 安田浩一、金井真紀 26-100-3859(2026.04.10)
「大人の放課後ラジオ」カテゴリの記事
- 『会う力』 早川洋平 25-148-3544(2025.05.31)
- 『疲労とはなにか』 近藤一博 25-144-3540(2025.05.27)
- 『なぜ悪人が上に立つのか』 ブライアン・クラース 25-154-3550(2025.06.06)
- 『韓国消滅』 鈴置高史 25-77-3473(2025.03.22)
- 『世界秩序が変わるとき』 齋藤ジン 25-35-3431(2025.02.08)
« 『耳に棲むもの』 小川洋子 25-143-3539 | トップページ | 『The Tale of Jemima Puddle-Duck』 Beatrix Potter 25-145-3541 »




コメント