『キッチン常夜灯』 長月天音 25-177-3573
南雲みもざさんは、ファミリーグリル・シリウスというファミレスの店長さんです。いつも帰りは深夜で、たいしたものも食べずにベッドに直行という毎日でした。
ある日、みもざが住むマンションの上の部屋が火事になり、消防のおかげですぐに鎮火はしたけれど、みもざさんの部屋は水浸しに、ここでは暮らせない状況になってしまいました。会社に相談したら、水道橋にある倉庫に部屋があるので、そこで暮らせることになりました。
水道橋で暮らすようになって、夜遅くでもご飯を食べられるところはないかと探してみたら、ご近所に「キッチン常夜灯」というお店があって、勇気を持って入ってみたら、とてもステキなお店だったのです。
・プロローグ
・眠れぬ夜のジャガイモグラタン
・明日のためのコンソメスープ
・ご褒美の仔羊料理
・師弟の絆バスク風パテ
・長い夜の末にクレームカラメル
・エピローグ
飲食店の店長は、気が休まる暇がありません。忙しければまかないを食べる暇もないし、いつも緊張しているせいでしょうか、なかなか寝られず、いつも睡眠不足状態でした。働きづめで身体も心もボロボロのミモザさんにとって、「キッチン常夜灯」はオアシスのような場所になりました。
食事がおいしいのは勿論ですけど、このお店のシェフとフロア担当の堤さんがとってもステキなんです。みもざさんは、このふたりに会いたくてお店を訪れることもありました。そして、店の片隅にいつもいる女性客のことが、とっても気になります。
自分は、おいしい食事を提供する仕事をしているはずなのに、どうして「忙しい、つらい」ばかりになってしまって、笑顔で仕事ができないのか? みもざさんは悩んでいます。でも、「キッチン常夜灯」にやってくる人たちと触れ合ううちに、なんとなくわかってきたんです。仕事がつらいのは、店や会社のせいじゃなくて、自分の性格のせいじゃないのかと。
おいしいものが心を癒し、心にゆとりが生まれてきたみもざさん。自分だけが無理をするのではなく、みんなに頼ることも大事だってことに気付けたんだもの。もう、大丈夫だわね。
それにしても、「キッチン常夜灯」のシェフが作るバスク地方の料理が、どれもおいしそう!日替わりのスープも、腸詰も、子羊の料理も、どれも食べてみたい~!
3573冊目(今年177冊目)
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