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『となりの陰謀論』 烏谷昌幸 25-168-3564

Tonarinoinbouron

となりの陰謀論

烏谷昌幸(からすだに まさゆき)

講談社現代新書2173

NetGalleyJP

 トランプ大統領が再選されて以来、アメリカから発信されるニュースはとんでもないことばかりです。不法移民の強制送還という名のもとに不法でない人まで送還したり、逮捕したり。関税をアップすると言い出したかと思えば、突然下げてやると言い出す始末。大学への助成金を「ユダヤ人迫害」を理由にカットしたり、ウクライナ対ロシア戦争をすぐにやめさせると言ったのに、全然ダメだし。そういう態度を TACO「Trump Always Chickens Out(トランプはいつもビビってやめる)」と皮肉られて逆切れしたり。このままじゃ、偉大な国どころかサイテーな国になるだけですよね。

 そんなトランプが実に上手く使っているのが「陰謀論」です。そんなわけないだろうという話を支持者たちは信じているのだから、傍から見ているとバカバカしく見えているけれど、そうなるにはちゃんと理由があります。

 

インターネットの出現によって陰謀論の世界は新規参入が容易になり、拡散のスピードが劇的に早くなった
 
 アメリカの政治は2大政党が競いあってきたのですが、トランプ以前は、ある程度はわかり合える部分もあったのです。でも今は、すっかり「パラレルワールドの人たち」になってしまい、話し合いの余地がない状況になってしまったのです。

 陰謀論を持ち出すことによって、「奴らはこんなことを隠しているのだ」とか、「こんなことに負けてはいけない」という同胞意識を煽り、それを信じない者は徹底的に排除するようになりました。

弁解の余地のないものを擁護する共和党の同僚にこう言いたい。いつかドナルド・トランプがいなくなる日は来るが、あなたたちの不名誉は決して消えることはない。

 同じ共和党であっても、トランプのやり方に異議を唱える人もいました。例えば、リズ・チェイニー前下院議員は異議を唱えたゆえに、徹底的に叩き潰されたのです。こういうやり方は、今までのアメリカでは考えられないことです。

 

 ラストベルト(錆びた工業地帯)の労働者たちに受けがいい話として外国に対する関税のアップを持ちだしたのかもしれないけれど、それが現実的な話だとは到底思えません。でも、それがトランプ流のやり方だし、それを信じてしまう人たちが大勢いるのです。

 

オバマが人生の成功のために享受したあらゆる仕組みやルールが、自分たちのために何ら役割を果たしていないとヒルビリーたちが感じている。

 トランプ政権の副大統領であるヴァンス氏は自著「ヒルビリー・エレジー」の中でこう言っています。これまでアメリカを動かしてきたインテリ層と自分たちは違う世界に生きていると考え方を持つ人が増えています。ここまで分断した考え方を持つように先導してきた「陰謀論」は、恐ろしい「兵器」です。

 アメリカ対諸外国の問題だけでなく、国内での内戦が起きつつあるという怖い状況が、今のアメリカなのです。でも、アメリカだけが困るというだけでは済まないはずです。世界中にとって迷惑な状況をいったい誰が止められるのでしょうか?

 それとも、どうにも止まらないのか?

#となりの陰謀論 #NetGalleyJP

3564冊目(今年168冊目)

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