『女医問題ぶった斬り!』 筒井冨美 25-150-3546
数年前に、東京医科大学の受験時の女子の点数を減点していたというニュースにビックリしました。同時に、男子の3浪以上の受験者に対しても同様のことが行われていたということも報じられていました。
医学部に女子が余り増えては困る、そして、入学時に余り歳をとっていても困ると大学側が考えていたわけです。最初は男女差別だ、年齢差別だという話だと思っていたのですが、この本を読んでいるうちに、それだけではないことがわかってきました。
そもそも医学部は卒業までに6年かかり、その後初期研修を受けると最短でも26歳です。更に専門医となるには数年かかり、あっという間に30歳目前です。女性医師の1/3が生涯独身、1/3が途中で離婚、結婚を維持できるのは1/3という統計があるそうです。この数字を知って愕然としました。
結婚して子供もと考えると、医師になってすぐに妊娠・出産ということになります。当直や、医療機関が少ない地区への赴任など、女性は計算に入れにくいということになってきます。そもそも男性中心にシステムが出来上がっていて、女性の意見を取り入れることがなかったわけですから、おのずと「女性には向いていない職種」になっているのです。
そして、医師になりたいから医学部を選ぶのではなく、好条件の結婚相手を見つけたいから医学部という婚活女子が結構いるということで、これもまた医大が女子学生を少なくしたいと思う要因の一つになっているというのには、「トホホ」とともに、「そうだったのか」という思いも湧いてきました。
医大合格者助成率4割となった今も、当直・救急・僻地勤務のような、医療のハイリスクでキツい部分は、結局のところ男性医師が担っていることがほとんどである。(あとがき より)
こういう構造を変えるには、新しい技術や考え方が必要なのだけれど、医療のシステムを決めているのは高齢の男性ばかりという所が、日本の医療のボトルネックなのです。著者は「AIよりもIT」と叫んでいます。この業界ではITすらまだまだ普及していないという話に、ため息しか出てきません。
女性医師は使いにくい、半人前、楽な仕事ばかりしたがるという医師の世界での価値観が出来上がってしまったのは、医療という仕事の過酷さゆえでもあるのです。
一部の医師に業務がのしかかり、真面目な人ほど働き過ぎ、鬱になり、自殺に追い込まれるという事実は、もっと多くの人に知らせるべきことだと思います。
女性でも、子どもがいても、介護をしていても、医師(仕事)を続けられる世界、それは無理なのでしょうか?
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