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『おみやげと鉄道』 鈴木勇一郎 25-164-3560

Omiyageto

おみやげと鉄道

鈴木勇一郎(すずき ゆういちろう)

講談社学術文庫2858

 かつて、女性が100人以上いる事務所にいた頃は、毎週どこからか「おみやげのお菓子」を頂きました。萩の月、ままどおる、博多通りもん、信玄餅、ちんすこう、北の恋人、ういろう、八つ橋、南部せんべい、一六タルト、etc... 日本中にこんなに銘菓があるのにビックリし、ハワイのマカデミアチョコ、台湾のパイナップルケーキ、中国の月餅、そしてオーストリアのモーツァルトのチョコレートなど、おみやげ用の個別包装のお菓子がこんなにもあるのだと驚くばかりでした。

 

 旅先で食べるお菓子で、昔からあったのはお饅頭とお餅ですけど、おみやげにしようとすると、特にお餅の場合は時間がたつと固くなってしまうのが問題でした。お餅を求肥(ぎゅうひ)に変えることで、おみやげとして持って帰れるようになったというのは、大発明ですね。

 鉄道の普及で神社仏閣などへ行きやすくなると(電鉄は聖地をめざす)、そこへ出かけた人たちが、おみやげを買うようになります。そこで買うのは「赤福」や「草団子」のような餅菓子や、羊羹などがメインでしたけど、ペナントやメダル、神社の形をした置物なども結構ありました。北海道の木彫りの熊とか、広島のしゃもじとか、後にみうらじゅん氏に「いやげ物」と呼ばれてしまうようなものも数多くありました。

 

 成田山のおみやげと言えば「米屋の羊羹」ですが、この本でも紹介されていました。戦時中には、缶入りの羊羹を軍への慰問品として製造していたということを、初めて知りました。甘いものが不足していたこの頃、慰問袋に羊羹が入っていたら嬉しかっただろうなと想像してしまいました。

 

 おみやげというのは、本来その場所の名物であるはずなのですが、「由緒づけなき名物」というのも結構あるようです。この本には登場しませんでしたけど、「水戸の納豆」というのも鉄道が通って偕楽園への観光客が増えたので、その人たちへのおみやげとして藁苞納豆を売るようになった(謎のアジア納豆)というのが起源なのだそうです。知らないだけで、そういうのが結構あるんでしょうね。

 

 鉄道が中心となっておみやげ文化が盛んになったわけですが、新幹線のせいで電車が止まらなくなってしまった横川駅の「峠の釜めし」のように、ドライブインに活路を見出したところもあります。最近では「道の駅」や「ご当地スーパー」でおみやげを買う人が増えてきて、おみやげ商戦は更に激化しています。

 

 日本人のおみやげ好きは、どこから来てるのでしょうね? 自分や家族に対するおみやげは、まぁいいとして、会社やご近所へ渡す「旅のおみやげ」って、実に日本独特だなぁって思います。「自分だけ遊びに行っちゃって、すいません」的な心理なのでしょうか?

 

3560冊目(今年164冊目)

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