『黒い蜻蛉』 ジーン・パスリー 25-161-3557
アイルランド人の父とギリシャ人の母の間に生まれたラフカディオ・ハーン。母は去り、父は去り、それ以降の人生には常に孤独感がつきまとっていました。10代の時に左目を失明し、そのせいもあって他人とのつきあいが苦手でした。
40歳の時に来日し、松江で英語教師になりました。東京や横浜のように外国の影響を受けていない美しい日本を見て、彼の運命が変わりました。気難しい人だったハーンの心が少しずつほどけて行ったのです。
セツさんと結婚してから、自分のような男をどうしてこんなにも大事にしてくれるのかがよくわかりませんでした。でも一緒に暮らすうちに、少しずつわかってきたのです。この人と、ずっと一緒に暮らしていくことで自分は幸せになれるのだと。ここが自分が生きる場所なのだと。
ハーンが日本国籍を取るときに、役所の人がセツに聞いた「彼から強要されていたのではありませんか?」という質問には笑ってしまいました。きっと、それは親切心からだったのでしょうけどね。小泉八雲という日本人になって、彼はやっと自分らしい、幸せな人生を手にできたのだと思います。
アイルランド出身の著者が、始めて日本に来た時点ではラフカディオ・ハーンを知らなかったそうです。帰国後に移り住んだ場所が、ハーンが幼少期に暮らした家の近くで、そこからハーンについて調べるようになり、この作品が生まれたというのは、とても不思議な気がします。この作品によって、アイルランドはもちろん、世界中でラフカディオ・ハーンについて知る人が増えて欲しいです。
3557冊目(今年161冊目)
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