『国宝 上 青春篇』 吉田修一 25-197-3593
映画が余りにも面白かったので、小説も読むことにしました。
まずは長崎の料亭での正月の大宴会、その余興として喜久雄と徳次のふたりが芝居を演じる姿の美しさ、そしてその後に起きた組長襲撃事件。映画で見たあのシーンだと思いながら読み始めました。組長の息子である喜久雄がその場に居合わせた歌舞伎役者花井半二郎の家へ引き取られる辺りは映画と同じですけど、こちら(小説)では喜久雄と子どもの頃から一緒に生きて来た徳次と一緒に大阪へ行くことになります。
半二郎の息子俊介と喜久雄は同い年、最初はお互いに「なんだこいつ」という態度でしたけど、同じ屋根の下で暮らし、同じ学校へ通い、一緒に稽古をするうちに、ふたりは何でも言い合える仲になっていきました。
それぞれの魅力があって、切磋琢磨するふたりだけれど、半二郎の息子として「ぼんぼん」な俊介と、芸の道で生きていくしかないという気持ちで稽古にはげむ喜久雄を見ていると、歌舞伎の世界では血が大切といわれるけれど、そんなことよりも芸の力や役者の魅力が第一と思う半二郎は複雑な気持ちを持っています。
それはもちろん本人たちにもわかっていて、俊介に「お前の血をゴクゴク飲みたい」と言う喜久雄の気持ちも、自分には名家の出という取り柄しかないと悩む俊介の苦悩も、どちらもつらいですねぇ。
映画では描かれなかった、喜久雄がかたき討ちに行くシーンも、徳次の活躍も、若い頃は喜久雄とつきあっていた春江が、なぜ俊介と出奔したのかなどが小説では細かく描かれていて、どれも興味深いものでした。
そして、あの名女形の万菊さん、なかなかの曲者ですね。わたしの脳内では田中泯さんが大活躍でした(笑)
色々な事件が起きてはおさまり、物語は下巻へと続くのでございます。
3593冊目(今年197冊目)
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