『君の顔では泣けない』 君嶋彼方 25-191-3587
15歳の水村まなみと坂平陸は同じクラスだけど、それまで話をしたこともなかったのに、一緒にプールに落ちてしまったんです。その時は何ともなかったんだけど、次の朝、お互いの身体が入れ替わってしまったことに気が付きました。
まなみの身体に入ってしまった陸の視点で物語が語られていきます。「どうすればいいんだ!」と陸になってしまったまなみと相談するのですが、元に戻る方法が見つからない以上、このまま生きていかなければならないということだけは確かです。お互いの家族構成とか友人関係を教わり、バレないようにがんばることにしました。
こんなことを誰かに言っても、信じてもらえないだろうから、本当のことを語り合えるのはふたりでいる時だけです。
男女が入れ替わるという彼らの苦悩を読むにつれ、気が付いたのは、性同一性障害(この言い方はなんだか嫌だけど)の人は、こういう心理状態をずっと持ち続けているんだろうなということです。身体の性と心の性が同じでないのは、本人のせいではないのに、他人からは理解されない。それどころか非難されるというのは酷いですよね。
それぞれ別の人生を生きていたはずなのに、気が付いたらお互いのために生きると考えられるようになっていく、まなみと陸。
いつか元に戻る日が来るかもしれないし、ずっとこのままかもしれない、どちらにしても、ふたりの特別な関係は続くのでしょうね。どちらかが亡くなるその日まで。
文庫版で追加された「アナザーストーリー【Side M】」で語られた、まなみの気持ちがとても穏やかで、ホッとしました。
3587冊目(今年191冊目)
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