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『最果てアーケード』 小川洋子 25-186-3582

Saihate

最果てアーケード

小川洋子(おがわ ようこ)

講談社文庫

 昔はもっとにぎやかな商店街だったのだけど、映画館の火事があってから、すっかり寂れてしまったこのアーケード街。でも、ずっとお店をやっている人たちがいるから、おなじみさんはちゃんとやって来ます。もし、たくさん買物をしてしまったら、声を掛けて下さい。お宅まで配達をする女の子がいますから。

 配達係の女の子の思い出が色々と語られています。特に、百科事典が大好きだったRちゃんと過ごした時間は、子どもらしくもあり、でも他の子たちとはまるで違う世界でした。

 Rちゃんがいなくなってからやってきた紳士おじさんは、悲しみをああやって紛らわしていったのでしょうか?それとも、もっと娘のことを知りたいという想いでいっぱいだったのでしょうか?

 

 衣装係の女性の話を読んでいる間中、わたしの実家の作業場の風景を思い出していました。ハサミで布を切る音、霧を吹いてからアイロンをかけるにおい。ミシンの針の動き、様々な色の糸が並ぶ引出し。服を掛けるボディ(昔は人台と呼んでいました)。わたしの原風景です。

 

 どの物語にもノスタルジーと、憧れを感じます。できることなら、あの配達係の少女となって、町を歩いてみたい

 子どもの頃、実家が洋服屋だったので、仮縫いをしてくれる下職さんや、ネーム屋さん(ジャケットの内側にネーム刺繍をする職人さん)へ行くことが良くありました。その時に、たとえ転んで自分は泥だらけになっても、店の品物は汚さないようにと言われたのは、何歳の時だったかしら? お届け物をする女の子の独り言や、お届け先での会話が、とっても身近に感じました。

 

 Rちゃんに「あなたは嘘の話ばかり読んでいるのね」と突っ込まれてたじろぐ女の子。今は百科事典ばかり読んでいるRちゃんだけど、彼女だってそういう本をちゃんと読んでるから、この子は小川さんの小さい頃の姿なのかな? なんて思ってしまいました。物語も好きだけど、それ以外のものにも興味があるのよね。

 わたしは子どもの頃アーケードのある商店街のそばに住んでいました。今はそういうものがないところに住んでいるので、つまらないのです。今度引越すときには、アーケードのある町を選びたいなぁ。

 

この10篇が収められています。

・衣装係さん
 衣装係さんが縫っていた服はどんなデザインだったのかしら。こんな老後もいいかもしれない。

・百科事典少女
 百科事典の最後に書かれていた「ンゴマ」は南アフリカの地名でした。そういえば、この間のブラタモリで、沖縄には「ん」で始まる言葉が多いという話がありました。

・兎夫人
 動物の剝製用の義眼のお話を読んでいるうちに、義眼を使っている友達のことを思い出しました。

・輪っか屋
 ドーナツ屋さんは、ドーナツを抜いた後の真ん中の丸い部分を揚げて、おやつにしていました。

・紙店シスター
 セピアカラーの古い絵ハガキをわたしも買ったことがあります。

・ノブさん
 ドアノブ屋のノブさん。

・勲章店の未亡人
 旦那さんが亡くなって、お店を引き継いだ奥さんは、店をたたむタイミングが難しいなと思っています。

・遺髪レース
 遺髪でレースを編むって、想像しただけでも細かくて疲れてしまう。

・人さらいの時計
 その時計が動いていることを見たら、良くないことが起きるらしい。

・フォークダンス発表会
 フォークダンスの参加者に記念のメダルを届けることに。

3582冊目(今年186冊目)

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