『侍女の物語』 マーガレット・アトウッド 25-189-3585
この物語が出版されたのは1985年。物語の設定はそこから見た近未来、たぶん21世紀初頭です。アメリカ合衆国は様々な化学物質のせいで農業や漁業などが衰退し、出生率が非常に低下しました。危機感を覚えたキリスト教原理主義者の一派がクーデターを起こし、ギリアデという国を成立させました。
この国で少子化対策として打ち出したのが、すべての女性から仕事を財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」としてエリート男性の家へ派遣し、子どもを産ませる、ということでした。彼女たちは真っ赤な服装なので、誰からも「侍女」だとすぐにわかります。
それ以外の女性たちは、幹部階級が「小母」、エリート男性の「妻」、そして「女中」と身分わけされており、服装によって一目でわかります。この国の体制に反対したものや、逃亡を図ったものは「不完全女性」と呼ばれ、危険な場所での労働を強いられたり、処刑されたりしていました。
メーデーの語源はフランス語なんだよ、と彼は言った。m'aidezから来てるのさ。わたしを助けて、という意味だ。
主人公の彼女には名前がありました。でも今の呼び名は「オブフレッド」。フレッドの所有物でしかないのです。彼女はクーデター前には夫と子どもと一緒に暮らしていました。それなのに家族とバラバラにされ、その消息すら分かりません。今は子どもを産むための道具としてしか扱われていないことに失望しています。
「侍女の物語」は、単なる想像の国の話ではなくて、わたしが生きる今の時代のことなのだと思えてしょうがないのです。
「女を自由にさせたせいで少子化が進んだ」とか、同性カップルは「子供を作らない、つまり『生産性』がない」と発言があったり。ほら、今の日本とそっくりじゃないですか。
3585冊目(今年189冊目)
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