『犬神家の一族』 横溝正史 25-192-3588
信州の財閥、犬神家の当主、犬神佐兵衛が亡くなり、彼の莫大な財産を相続するであろう家族が集合した場所佐兵衛の遺書の内容が発表されました。彼の娘である三姉妹、松子、竹子、梅子の母親はいずれも妾でしたから、遺産の分け前の多い少ないは、大問題でした。それなのに、佐兵衛が遺したのは、懇意にしていた神社の娘である珠世を中心にした遺書だったのです。それを知って、その場にいた全員が愕然としたのです。
いずれかの者が、この家の跡継ぎと決定した暁には、家宝である『斧(よき)、琴、菊』の三種の神器を渡すということも書かれていました。この『よきこときく」が、これから起きる事件に深くかかわってくるのです。
この本を最初に読んだのは、角川で映画化されたころですから、今から50年も前です。角川映画では、金田一耕助は石坂浩二さんだったのですが、数年後にTVドラマシリーズで古谷一行さんが金田一を演じ、こちらの方が原作に近いような気がします。でもこの作品では、名探偵金田一耕助よりも、佐清(スケキヨ)さんの方が人気がありました。
戦争で顔に深い傷を負ってしまい、白いゴムのマスクをかぶったその姿は表情が見えないこともあって、異様な雰囲気が漂っています。
あのころ、友達の間で「とっても、スケキヨ」という言葉が流行っていました、それくらいあの白いマスクのインパクトは強烈だったのです。
横溝正史が書く作品は、どれも人間関係がドロドロ、殺人の方法もドロドロ、でも面白くて、ズンズン読めちゃうんですよね。今回も、結末がわかっているのに面白かったです。
ここでちょっと昔話を、角川映画の「犬神家の一族」を封切り直後に観に行ったのですが、映画館が「日比谷映画劇場」だったのが印象的でした。あそこは、普段は洋画のアクションものがかかる映画館だったので、日本映画を上映するということ自体が凄いなぁと思ったことを覚えています。定員以上の観客が集まってしまい、立ち見も出る状況で、わたしは座席の横の階段になっている通路に座って観ました。固い床だったのに、そんなことも気にならないくらい映画にのめり込んで観ていました。
また、映画館で観てみたいなぁ!
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