『銀河の図書室』 名取佐和子 25-214-3610
この物語の舞台は県立野亜高校、そうです「図書室のはこぶね」のあの学校。体育祭の最大の出し物「土曜のダンス」もずっと続いてきたのですが、コロナ過で中断してしまい、紆余曲折があって前とはちょっと違うスタイルで続けれらるようになったというサブストーリーもありますが、今回は宮沢賢治を愛する「イーハトー部」のお話です。
チカ(高田千樫)、キョンヘ(石館恭平)、2年生男子2名しかいない「イーハトー部」、入学式の日に新入生を勧誘していたところ、なんとかマスヤス(増子耶寿子)という女子が入部してくれました。
チカは高校入試の時にしくじってしまってから、とにかく試験になると平常心でいられなくなってしまって、成績が下がるとともに、他のことまでダメになって来ていました。そんなチカの心の支えが「イーハトー部」の部長、風見先輩だったのに、突然学校へ来なくなってしまったんです。「ほんとうの幸いは、遠い」という謎の言葉を残して。
風見先輩に戻ってきて欲しくて「イーハトー部」の3人は知恵を絞ります。そして「銀河鉄道の夜」にヒントがあるのでは?と気づいたのです。
第一章 図書ノ 教室ニ 居リマス
第二章 何をやっても間に合わない
第三章 無畏 無畏
第四章 ほんとうの幸い
普段はいい加減なキョンヘが突然チカに、岩波少年文庫の「風の又三郎」を買ってきてほしいと頼んだあの日のことが、とても印象に残りました。誰にも言わないで来た大事なことが彼にもあったんだと。
この作品の中で「銀河鉄道の夜」は未完の作品であるということや、賢治の詩について様々な研究があることを初めて知りました。
3人しかいなくても「イーハトー部」は、結構いろいろと活動してるじゃないですか。一番羨ましかったのは高校の図書室での夏合宿です。そういうことができる県立野亜高校はいい学校だなぁ!
3610冊目(今年214冊目)
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