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『人間の大地』 サン=テグジュペリ 25-242-3638

Ningennodaiti

人間の大地
Terre des hommes

サン=テグジュペリ
Antoine de Saint-Exupéry

渋谷豊 訳

光文社古典新訳文庫

フランス 1939

100分de名著

 1900年にフランス南東部の町リヨンで生まれたサン=テグジュペリは、1921年に民間飛行免許を取得し、1926年にアリエンヌ・フレンセーズ社の遊覧飛行のパイロットとなり、同年10月にトゥルーズに本拠地を置くラテコエース社に入社。そこから彼の郵便飛行士としての活躍が始まりました。

 当時、フランスはモロッコ、西サハラ、ダカールなど、大西洋側のアフリカ大陸に多くの植民地を持っていました。(だから、パリ= ダカールラリーが生まれのですね)

 郵便飛行士として、最初はフランス国内、次にフランスからポルトガルへ、経験を積み重ねた後アフリカ大陸へと飛行距離は伸びていきます。郵便飛行士たちは、新しい路線開拓もしていきます。何度も登場するギヨメは南米の航路を開拓していました。彼の話を聞きながら、サン=テグジュペリは危険でありつつも魅力的なこの仕事に惹かれていきます。彼自身もブエノスアイレスにあるアエロポスタル社の系列会社の支配人になったこともあります。

 

 飛行機によって郵便物がこれまでとは比較にならないほど早く届くようになりました。でも、その仕事は常に危険と隣り合わせです。嵐に巻き込まれることもあるし、夜は星だけが頼りです。ですから、墜落することもよくありました。砂漠に墜落した時、すぐに火が出なければ助かる可能性はありますが、ただ待っていても助けは来ません。今と違って飛行機がどこに落ちたかを正確にわかるわけでもないし、飛行機から砂漠の中に人間がいるのを見つけるのは至難の業です。ですから、墜落した後は誰かに出会うまで歩くしかないのです。

 

 ゴビ砂漠に墜落した時の話は、とても過酷な話をしているのだけれど、どこか哲学的です。水なしでは人間は3日しか生きられないのです。救いを求めて歩くうちに、何かが見えてきます。それを追いかけてもフッと消えてしまいます。それが蜃気楼なのか、幻なのかわかりません。でも、諦めたら終わりだということはわかっているので、必死に歩き続けます。

 その頑張りは自分のためだけでなく、自分を待っていてくれる人の為だという話が出てきて、ハッとしました。自分のためだけではがんばれないことも、愛する人の為ならがんばれるのです。もし死んだら妻に遺族保険が降りるのだが、遺体が見つからないとすぐにお金が届かない。だから、妻のために少しでも見つけてもらいやすい場所まで移動しようと努力したというギヨメの話はすごいです。そして、その話を思い出しながら歩いたサン=テグジュペリもすごいです。

 

 最初の方の話で、サン=テグジュペリが砂漠のキツネのことを、耳が立っていて可愛いのだと語っています。一時は飼っていたこともあるらしいです。

 砂漠で死にそうな目にあっても、彼はまた飛行機に乗り続けました。そして、人間とは何かを考え続けました。この本は、そんな彼でなければ書けなかった本です。そして、これが「星の王子さま」に結びついたのでしょうね。

3638冊目(今年242冊目)

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