『この味もまたいつか恋しくなる』 燃え殻 25-213-3609
丁寧な暮らしが、よく雑誌やテレビで取り上げられるが、あんなものでは荒んだ日常で疲れた心と身体は癒されない。
本当の癒しはきっと大雑把な暮らしにしかない。
丁寧にとか、大事にとか、SDGsとか、カッコいいことを言う人よりも、こういうことを言ってくれる人の方が信頼できるって思う。時間に追われ、忙しい病にかかり、羞恥心との葛藤に明け暮れる毎日を過ごす人間に「丁寧に」なんて余裕はない。それよりも「大雑把」はいいなぁ。AとBのどっちにしますか?と決断を迫られた時、この世のほとんどのことは「どっちでもいい」のだと大雑把に考えられたら、ストレスは激減する。
このエッセイ集の中にいろんな人が登場する。後で読まれることを想定していた日記を書いていた喫茶店のマスター、銀座アスターへ行こうって約束したのに結局会えなかった彼女、シーフードドリアを一緒に食べた彼女。
わたしにも、コーヒーの香りの思い出も、アスター麺の思い出も、シーフードドリアの思い出もあるけれど、燃え殻さんとは全然違う思い出なの。それぞれが、その人なりの思い出をたくさん持ってるものなのよ、きっと。
海の家で食べたカレーも、学校のそばのコロッケうどん屋のことも、派遣先で1人で食べたエスニック弁当のことも、何故覚えてるんだかよくわからないけど覚えてる。
今は何にも感情をこめて食べていないこの味も、いつか思い出で満たされる日が来るのかもしれないのよね。きっと、胃袋と記憶はつながっているんだと、わたしは信じてる。
#この味もまたいつか恋しくなる #NetGalleyJP
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