『この庭に』 梨木果歩、須藤由希子 25-221-3617
余りにも暑い日が続いています。図書館でこの表紙を見たときに、雪につつまれた景色に心ひかれました。ああ、この本を開いたら気持ちだけでも涼しくなれるかもしれないと。
主人公の女性は、冬のあいだだけ北の国にある家を借りて住んでいます。寒くて外に出るのもおっくうなので、食糧庫にあるオイルサーディンの缶詰とコニャックでおなかを満たしています。
ある日、家の門の所に小さな女の子がいて、この家の庭を見つめているのに気づきました。
何度目かにその女の子が来たときに話をしてみると、「この庭に、ミンクがいる気がしてしようがないの。」というのです。「あなたのミンクなの?」と聞くと、「そうだと思う」というのです。
昔、防寒具として毛皮が重宝されていたころ、ミンクは高級な素材として珍重されていました。日本でも輸入して飼育されていたミンクが野生化して、北海道や東北に生息しているのだそうです。
須藤由希子さんが鉛筆で描く挿絵は、雪が積もった家、薪ストーブ、雪の上に残った動物たちの足跡など、どれも白黒なのに、とても鮮やかに感じます。そして、黒いミンクのかわいいこと!
ひと時の涼しさを、この本から頂きました。
3617冊目(今年221冊目)
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