『日本のなかの中国』 中島恵 25-244-3640
法務省の統計(23年6月)によると、東京23区で最も中国人が多いのは江東区で、次いで足立区、江戸川区、新宿区、板橋区の順になっている。
わたしは時々亀戸へ行くのですが、URの「亀戸二丁目団地」の辺りへ行くと、とにかく中国人が多いのです。団地内にスーパーはあるし、車が入れない広いエリアがあって、子供が遊んでいたり、老人がおしゃべりをしていたりする姿が目立ちます。亀戸五丁目の商店街に至っては、中国人向けの肉屋、魚屋、肉まんや揚げパンを売る店などがたくさんあって、中国語を話す人が多く、ここは中国か?と思う景色です。
最近江東区へ移り住むようになった中国人は二極分化しているようで、高所得層は江東区南部の豊洲や晴海のマンションに住み、中低所得層は江東区北部の亀戸に集まってきています。
同じ江東区内でも都営新宿線と東西線のエリアにはインド人が多く住んでいます。そういう背景もあるのか、江東区役所へ行くと英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の通訳の人が揃っていてビックリしてしまいます。
いまや、日本国内に住む中国人は80万人を超えるのだそうです。かつては「中国残留孤児」や出稼ぎの人が多く、日本語を覚えようとする人が多かったのですが、最近は、不動産屋さんも、塾も、飲食店も、中国語だけでOKな時代になっているというのには、驚くばかりです。
かつては日本で働いて中国へ仕送りというスタイルでしたけど、失われた30年の間に中国経済が発展を遂げ、今では中国で働いた方が稼げるという時代なのです。なのに、なぜ彼らは日本へやってくるのか? 一番大きなファクターは「治安やマナーの良さ」だそうです。そして、受験戦争が激しい中国の教育システムに疑問を感じ、子どものために日本へやってくる人も多いし、裕福な中国家庭から日本に留学に来ている子どもたちも多いのだそうです。
プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
第3章 持ち込まれた中国的論理
第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
第5章 多層化していく社会
エピローグ 日本で暮らし働いた黄さんのささやかな夢
中国の不動産バブルがはじけたので、建設関係の人たちは日本に仕事を求めてやってくるかもしれないとか、日本で長く働いていたけれど、やっぱり故郷へ帰りたいと思う人が増えているとか、人の流れは読めませんけど、急に中国人が減るということはなさそうです。
この本を読んでいて思ったのは、日本人が考えている外国人像というのは、「日本人と仲良く暮らす人たちだといいな」というのに対して、中国人たちが考えているのは「日本人と関わらなくても生きていけるコミュニティを作るぞ」で、その違いは歴然としています。とにかく、日本人の勝手な思いだけではどうにもならない時代に突入したのは確かです。
3640冊目(今年244冊目)
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