『介護未満の父に起きたこと』 ジェーン・スー 25-266-3662
親の介護というのは、今の日本における最大の問題ではないかと、わたしは思っています。一昔前までは妻・娘・嫁が行うのが当たり前とされてきた介護が、時代に合わせて変わってきているのです。その一つとして介護保険制度があるのですが、たとえば要支援と要介護はどう違うのか?などについて、正しい知識を持っている人はほとんどいません。家族や自分がその立場になって始めて知ることだらけなのです。
スーさんの父親は82歳で一人住まい。なるべく自分のことは自分でやって欲しいけれど、家事能力は余りありません。でも、一緒に住むという選択肢はありません。そんなことをしたらストレスで2人ともやられてしまうのが見えているのです。
1ヶ月に1回母親の墓参りに一緒に行きます。その帰りにファミレスで食事をしながら、食が細くなっていないか?身だしなみがおかしくなっていないか?などをチェックしています。それ以外はほとんど遠隔操作、毎食の写真をLINEで送ってもらったり、通販でレトルト食品を送ったり、掃除の人に入ってもらったりしています。
老人の答えの大半は「忘れた」「わからない」「めんどうくさい」だから
娘の目から見て、これは改善して欲しいなという話をしても、まともな答えは返ってきません。だから、ケンカをしたことも多々あるそうです。ケンカしたって、状況が良くなるわけではありません。それどころか精神的ダメージが溜まります。長年かけて学んだことは、いかに父親の機嫌を損なわずに、現実的対応をするということでした。
これは、娘の意見ではなくて、医師や介護サービスの人の提案なんだからねと思わせることが、父を納得させるには一番だとか、できないことを叱ってはいけないとか、いろんなことを学んできました。
老人は子どもと違い、生きているだけでできることが増えるわけではないのだと痛感する。後退するスピードを、どこまで遅らせられるかでしかない。その中で、介護される側もする側も、どれだけ機嫌よく過ごせるかがカギなのだと、繰り返し繰り返し、自分に言い聞かせる。
今後は「良かれと思って」で私の不安を父に共鳴させるようなことはしないようにせねばならない。
ここまで達観することは、なかなかできませんよね。スーさんはエライ!
(父親を施設に入れて後ろめたく感じていた友人に)施設長は「もう、介護は家族がやるものではないですから」とことばを掛けてくれたという。
わたしも母親の最後の数年と、死後の家の片づけは面倒くさいことばかりでしたが、「わたしにできることだけやればいい、それ以外、お金で解決できることはそれですませばいいのだ」と観念したら、なんとかなったことを思い出しました。その後、同じような境遇の人には必ず言っています。
「役所へ行って書類をもらってくるとか、入院の時の書類を書くとか、自分にしかできないことだけをやって、それ以外はできるだけ誰かにやってもらえばいいんだからね」
アレクサが搭載された「エコーショー5」で物忘れしがちなお父さんに、その日の予定をプッシュ送信したり、マンションの部屋に訪ねてきた人の映像がはっきり見えるし、録画もできるスマートドアベルを設置したり、便利な電子機器の運用ってありがたい味方です。
少しずつできることが少なくなってきし、どこか他人事みたいな態度を取る父親だけど、できる限り自由に暮らして欲しいと思っている娘の気持ち。すごくよくわかります。お父さんはそれをどれだけわかってくれてるのかな。たまには娘を褒めてやってよなんて思うけど、そうはならないところが日本のお父さんなのかなぁ?
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