『紙の動物園』ケン・リュウ 25-259-3655
紙の動物園
The Paper Menagerie and Other Stories
ケン・リュウ短編傑作集1
ケン・リュウ
Ken Liu 劉宇昆
古沢嘉通(ふるさわ よしみち)訳
ハヤカワ文庫 SF 2121
2012年度ヒューゴー賞 受賞
米国 2011
2025年 早川書房創立80周年記念フェア『ハヤカワ文庫の80冊』
最初の「紙の動物園」でググっと心を掴まれてしまって、「結縄」であっと脅かされて、「太平洋横断海底トンネル小史」で、この本はSFだったと気がつき、最後の「文字占い師」で涙してしまいました。
中国生まれアメリカ育ちのケン・リュウは、小説を英語で書いているのですが、心は中国の人なのだと感じました。「紙の動物園」でお母さんが作ってくれた折り紙の虎は、彼自身も作ってもらったことがあったのかもしれません。
宇宙へ行くのも、海底を掘っていくのもSFですが、言葉も分からない外国へ行く人にとって、彼の地での暮らしはSFそのもの、未知との遭遇だらけなのだと感じました。
この7編が収められています。
・紙の動物園
・月へ
・結縄
・太平洋横断海底トンネル小史
・心智五行
・愛のアルゴリズム
・文字占い師
中国、香港、台湾、第二次世界大戦中の満州などの話があちらこちらに登場するのですが、そこには、もちろん日本も関係してきます。辛い時代に耐え、時には戦い、家族や愛する人を亡くし、それでも生きていく姿が描かれています。せっかく平和に暮らしているのに、そこに土足で入り込む奴らは、いつの時代にもいます。そんな負の歴史を文章にして残そうとすることすらも、許されないことがあるのです。
だからこそ、ケン・リュウはこういう作品を書くのでしょうね。素晴らしい短編集でした。
3655冊目(今年259冊目)
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