『サイボーグになる』 キム・チョヨプ、キム・ウォニョン 25-294-3690
作家として活動するようになってからは、より積極的に文字通訳を利用するようになった。~中略~ 複数のパネリストと対話する場に招かれたときは、質疑応答、または対話全体を文字通訳して欲しいと依頼した。文字通訳が利用できない場合はメモ用紙に質問を書いてもらったり、スタッフや司会者に内容を要約して書いてもらったりという方法をとった。
「わたしたちが光の速さで進めないなら」の著者、キム・チョヨプさんは、後天的な聴力障害のために高校生の時に補聴器を使い始めました。補聴器が聴力を補助してくれてはいますが、複数の人が話している場合や、相手が早口だったり、発音不明瞭だったりという場合には聞き取れないこともかなりあります。ですから、文字通訳やメモを見せてもらうことで、よりスムーズな会話が可能になるのだそうです。
車椅子のためにスロープを設置することよりロボットスーツの方が注目され、称賛を浴びる緒は何故だろうか、それは移動補助機器を利用することより「歩く」ことのほうが「正常さ」に近いと考えられているからだ。けれど誰かにとっては、音を良く聞こえるようにする技術より手話や文字情報を提供することが、ロボットスーツより車椅子が適している場合もある。障害者の身体は、たとえ障害の種類が同じでも標準化できないほど多様であり、人それぞれ置かれている状況も異なる。
作家、弁護士のキム・ウォニョンさんは、生まれつき骨が折れやすい骨形成不全症というという難病を持ち、移動には車椅子を使っています。車椅子によって外へ出やすくなりましたが、健常者が考えるような自由さとは程遠いものがあります。
公共交通機関が便利な所へ行く場合には電動車椅子で出かけます。そうでない場合には自動車に乗せられる手動の車椅子で出かけます。今日はどこへ行くのかによって、毎朝選択しなければなりません。
わたしの友人が電動車椅子を使うようになって、本当に良かったよと言っていたことを思い出しました。普通の車椅子だと介助者が必要ですけど、電動にしてからはひとりで出かけられるようになったのが、とにかくうれしいのだと。特に都営地下鉄にホームドアが付いてからは、駅員さんの手を煩わせずに乗れるようになって、自由度が上がったと言っていました。でもね、電動車椅子ではタクシーに乗れないのです。雨が降ったらずぶ濡れだから、雨合羽は必需品だとも言っていました。
「障害者のためのデザインは結局、非障害者にとっても有用だ」という点を強調しすぎると、「障害者だけに有用なデザインはユニバーサルデザインより価値が劣る」という認識が生まれる可能性がある。
点字ブロックが黄色いのが気になるという人がいます。そのせいでしょうか、スタイリッシュなビルなどで、点字ブロックを目立ちにくいグレーやシルバーにしているのを見たことがあります。世の中には見える人と見えない人しかいないと思っているのでしょうか。実際には、光は感じるという程度の視力の方もいれば、視野が狭くて全体像が見えないという方もいます。点字ブロックが黄色いのは、弱視の方にとって、それが見やすいからなのですが、そういう知識や想像力がない人によって、大事なことが見過ごされてしまうのは困ります。
「くらやみの速さはどのくらい」 を読み始め、その日の夜に最後のページを閉じたとき、ようやく自分の探し求めていた本に巡り合えたと感じた。
キム・チョヨプさんがその本から感じたのは、「ノーマル」にならなければならないという圧力を受ける。ということでした。
キム・チョヨプさんとキム・ウォニョンさん、おふたりの障害の種類は違うけれど、障害を持つ人として考えていることには共通点が多いのです。この本の中で何度も語られているのが、健常者のエゴです。車椅子よりロボットスーツを着て直立歩行する方が好ましいという考えや、手話で話すよりも、ろう者に発声することを求めがちだということが余りにも多いのです。障害を持つ人が便利になることよりも、健常者が見たときに「ノーマルに見える」ことの方が大事なの?
障害者の為の設備を、障害者しか使わないのだから、それは本人たちが負担すればいいだろうという人がいたり、仕事中に転んで義足を破損した人が、その保証を会社に頼んだ(日本でいえば労災のようなもの)ところ、足の骨を骨折したのなら保証するが、義足は道具であって身体の一部ではないと却下されたこととか、「健常者って、そうなんだ」と思うことが色々と紹介されています。
この本で示された様々なことは、決して「他人事」ではなく「自分事」なのです。多くの人に知って欲しい現実がたくさんあるのです。
3690冊目(今年294冊目)
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