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『キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ』 井上荒野 25-285-3681

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キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ

井上荒野(いのうえ あれの)

角川春樹事務所

NetGallyJP

 夫を失くしてから明るくふるまってはいるけれど、やっぱり寂しい気持ちになってしまうことがある江子さん(66歳)。5年前に旬さんと結婚したけど、どうもうまくいってないなぁとため息ばかり出る麻津子さん(65歳)。夫と息子を早くに亡くしたけれど、ようやくひとり暮らしを楽しめるようになってきた郁子さん(67歳)。この3人でやっているお惣菜屋さん「ここ家」は常連さんも多い繁盛店です。

 「ここ家」がテナントで入っている建物の大家さんが高齢になり、このビルを壊すので立ち退きの話が出てきて、3人は慌てます。この場所で店をできなくなるって、他の物件を探さなければならないって事? いつまでここで店をやっていけるの? もしかして、これを機に「ここ家」は解散?

 もっと若かったら、あっさり次の物件のことだけに集中できたのだろうけど、60代後半ともなると、自分の体力や気力が持つのかという心配もあるし、悩みは膨らむ一方です。

 でも料理をしている間はそんなことを忘れて、幸せな気持ちになれるから、やっぱり3人ともこの仕事が好きなのね。

 

 60代後半と言っても、女性の平均余命を考えたら、まだ20年以上あるんです。元気で働けるのはその半分くらいと考えても10年はあるわけで、その期間をいかに自分らしく生きるかと考えると、ここは大事な時期なんですよね。

 収支はトントンくらいでいいんです。毎日やることがあるということ、自分が必要とされていると感じられること、仲の良い友達がいること、お客さんとの会話だって、大事なことです。そう考えると「ここ家」のような仕事っていいですよね。辛くなってきたらペースダウンすればいいんだし、誰かに手伝ってもらってもいいんだし。こういうスモールビジネスはいいなぁ。

 また、次の5年後の話もあるといいんだけど。

#キャベツ炒めに捧ぐリターンズ #NetGalleyJP

3681冊目(今年285冊目)

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