『日本エッセイ小史』 酒井順子 25-302-3698
この本の中で、これまでにヒットしてきたエッセイ本について、様々な考察が行われています。「これまで知らなかったことを紹介してくれる」ものと「わたしもそうだと思っていたことを肯定してくれるもの」エッセイはこの2つのタイプに分かれると、酒井さんは分析しています。
私が高校生だった頃、同級生に伊丹十三の「女たちよ!」が面白いと教えてもらい、読んでみた感想は「こんな人がいるんだ!」という驚きでした。この本の中で何度も登場している「ヨーロッパ退屈日記」に至っては、「へぇ、そうなんだ!」の連続でした。
80年代くらいまでは男性のエッセイが主流でした。そんな中でわたしが好きだったのは赤瀬川原平さんたちが提唱した「トマソン」関連でした。町の中にある無用な物を発見して、「ほらほら変でしょ」といっているのが楽しくて、そういうものを探すのが今でも好きです。野球選手としてはパッとしなかったトマソンが、こんな形で名を遺すなんて、本人はご存じなんでしょうか?
女性のエッセイが表に出るようになってきたのは向田邦子さんあたりからでしょうか。淡々とした日常の中にハッとすることが起きるところが大好きです。それとは対照的な群ようこさんのグズグズした日常は、「あるある」と思うことばかりです。佐藤愛子さんの「九十歳、何がめでたい」も、高齢化社会の現実が見事に描かれていて楽しいです。最近はジェーン・スーさんの文章を読んでいて、「よく言ってくれた!」と思うことが多いのです。
エッセイは、時代を映す鏡なのかなぁ。憧れよりも現実と共感、そのあたりが今の時代を映し出しているいるのかもしれません。
3698冊目(今年302冊目)
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