『死との約束』 アガサ・クリスティー 25-300-3696
死との約束
Appointment with death
アガサ・クリスティー
Agatha Christie
高橋豊(たかはし ゆたか)訳
ハヤカワ文庫
クリスティ文庫 16
英国 1938
2025年 早川書房創立80周年記念フェア『ハヤカワ文庫の80冊』
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ」エルサレムのホテルの一室で、ポアロは窓の外でこんな話をしているのを耳にしてしまいました。こんな物騒な話をしているのが誰かは知りませんが、いったい誰なのだろうとポアロは思ったのでした。
エルサレムへは欧米から様々な人たちが観光にやってきていますが、ポイントン家の人たちは、かなり異様な感じでした。年老いて、身体は弱っているけれど圧倒的な支配力を持ったポイントン夫人、長男レノックスと妻のネイディーン、次男レイモンド、長女キャロル、二女ジニー、この6人はいつも行動を共にしています。誰かが別行動を取ろうとしても、ポイントン夫人は決して許さないのです。
この一家とたまたま行動を共にすることになった人たちから見ていても、子どもたちが皆、母親に支配されているのがよくわかります。今風に言えば「毒親」そのものです。女性代議士や、医学博士がポイントン夫人のことを話のネタにしています。怖いけど覗いてみたい、そんな変な魅力が彼女にはあるようです。
舞台は、エルサレムからヨルダンのペトラ遺跡へと移ります。ここに来て、ポイントン夫人は、始めて子どもたちに別行動を許します。そして、子どもたちが帰ってきた後、ポイントン夫人が死んでいるのが見つかりました。
最初は単なる心臓発作だと思われていたのですが、殺人の可能性が出てきました。さぁ、ポアロ登場です!
関係者と一人ずつ話をしていくと、それぞれが本当のことも嘘のことも話します。でも、そこから真実をあぶりだすのがポアロの得意技です。この家族は全員が「殺人への動機」を持っているわけですが、それだけがすべてではないと考えたポアロの推理はいかに!
この作品が発表されたのは1938年、調べてみてビックリだったのが、第二次世界大戦前のエルサレムは、イギリスの委任統治領だったのです。イギリスやアメリカから観光客がやって来ていたのは、そのせいだったのですね。
3696冊目(今年300冊目)
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