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『世界はラテン語でできている』 ラテン語さん 25-275-3671

Sekaiharatengode

世界はラテン語でできている

ラテン語さん

SB新書 641

The Lifestyle MUSEUM vol.907

 この本の著者であるラテン語さんは、ディズニーシ―にある地図の説明書きがラテン語で書かれているのを見て、興味を持ったそうです。そこからラテン語の勉強を始め、ラテン系の言語であるイタリア語、フランス語、そして、英語、中国語なども学び、留学経験なしでマルチリンガルになったという方なのです。

ラテン語はイタリア半島中西部の、一都市の言語として産声を上げた言語です。それが古代ローマの勢力拡大に伴って通用する地域を広げていき、その後もヨーロッパの書き言葉に広く使われ、現在のフランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語などの下になっています。
ルネサンス時代にはイングランドに住む文人たちがラテン語の多くの単語を英語に借用し、その結果ラテン語は英語の語彙にも影響を及ぼしています。
また、イングランドがフランス系の勢力によって11世紀に征服された際(ノルマン・コンクエスト)には英語の語彙がフランス語の影響を受けましたが、そのフランス語の元がラテン語なので、ノルマン・コンクエストを経た英語の語彙はその点でもラテン語の影響を受けたことになります。

 イタリアの高校では、ラテン語が必須教科なのだそうです。日本でいうと、古典や漢文を勉強するという感覚なのかもしれません。

 この本の最後に、ヤマザキマリさんとラテン語さんの対談が収められています。ラテン語さんは、ラテン語で会話ができるほどの方で、イタリア語もかなりわかるのですが、実際にイタリアで暮らしているヤマザキマリさんの話に「へぇ、そうなんだ」と感じているところがあって、面白いです。

 

 ラテン語は日本語にもかなり影響を与えています。am(ante meridiem 正午の前)とpm(post meridiem 正午の後)とか、エトセトラ(et cetera 等々)とか、&(アンパサンド)は、ラテン語の「et(英語の and)の合字だそうです。エゴ(ego 私)とか、オーラル(ora 口)、デント(dens 歯)などは、身近な言葉になりました。メメント・モリ(Memento mori)」とは「死を忘れるな」という意味ですが、ゲームや自己啓発本などでもおなじみの言葉です。

 雨合羽のカッパはポルトガル語の capa(外套)が語源で、更にその語源はラテン語では cappa これが英語の cap の語源でもあるというのですから、ラテン語の影響恐るべしです。

  L'Arc〜en〜Ciel(ラルク アン シエル)のCielは「天」という意味のラテン語の「caelum」から変化してフランス語になったものです。このバンド名の意味は、天にかかるアーチ=虹 だったというのを初めて知りました。

 

 ラテン語を学ぶ人は教会関係の方だけでなく、歴史を学ぶ方などかなり広範囲にいらっしゃるそうで、ベストセラーの本がラテン語に訳されているものもかなりあるそうです。ハリーポッターシリーズとか、星の王子さまなどがラテン語になっているなんて、ビックリしちゃいます。

 かつては、ヨーロッパやアメリカでの公文書はラテン語で書かれ、外国の人たちとの会話にはラテン語で話すということが当たり前だったそうです。だからこそ、世界中にラテン語の影響があるのですね。

 ラテン語を今までよりも、身近に感じるようになりました。

3671冊目(今年275冊目)

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