『物語の役割』 小川洋子 25-297-3693
この本の中で小川さんは物語について様々な思いを語っています。「こういう物語を書こう」と最初から構想があるものもあります。その反対に、何か気になったこと、目にしたことなどが、元々はそれぞれバラバラであったことが、突然結びつく「化学反応」を起こすことがあるというのです。
そういう考え方が明確になったのは、「博士の愛した数式」を書くきっかけとなった、藤原正彦先生との出会いからなのだそうです。数学で全く新しい考え方が生まれるとき、そこには、これまで誰も思いつかなかった何かの結びつきがあるということを、先生から教えていただき、それが小川さんにとって、とても新鮮な驚きだったようです。
物語というのは、本当に起きたこともあれば、誰かの想像力で生まれたものもあります。でも、どちらか片方だけということはありません。何か主題となるものと、それに関わること、その化学反応によって物語が生まれます。
作家の頭の中で物語が作られるはずなのですが、実は何か見えない力に書かされているということもあります。その作品を読む人が、作家が思っていたようなものを感じるかどうかもわかりません。作家には思いもつかないような何かを見出すことだってあるのです。
本を読むのは、ほとんどの場合「ひとり」での作業です。誰に遠慮することもなく、自分だけの想像力で物語を読むことができます。そういう時間を持つことが、自分という人間と向き合うことにもなるのかもしれません。
「物語の役割」とは、自分を見つけるためのヒントなのだと、わたしは感じました。
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