『教わる力』 牧田幸裕 25-282-3678
勉強でも、スポーツでも、料理でも、とにかく教わるということをたくさんやってきました。学校で教わることもあったし、独学もありました。同じように教わっても、できる人とできない人がいるということは、小学生の時点でわかりました。特にスポーツに関しては、その差が目に見えました。
わたしの小学生時代には学習塾へ行くのは少数派でした。わたしは塾へ行っている子に、塾では何を教えてくれるの?と聞いたことがあります。その答えは「学校でわからなかった所を、ぼくにわかるように教えてくれる」だったのです。なるほどねとわたしは思いました。教室で大勢いるところでは聞きづらいけど、塾でなら先生に「ここ教えて」と言えるんだな。
中学生になって、数学でどうにもわからないことができて、それをスラスラ解いている友だちがいたので、「どうやったらわかるようになるの?」と聞いたら、「アンチョコだよ」と教えてもらったのです。アンチョコとは「教科書ガイド」のことで、さっそく本屋さんへ行って買ってきました。そしてこの本を読んでみてビックリ! ホントによくわかるんです。これを使って予習をするようになったら、数学の時間が楽しくなりました。
世間では勉強法として「復習することが大事である」とよく言われますけど、この本の著者によると、それは、授業中の内容について行ける人の話であって、そもそも授業について行けない人の場合は予習しておくことこそが大事だというのです。授業について行けるレベルでなかったら、先生の話はチンプンカンプンで、復習などできるはずがありません。
中学でも高校でも、わたしは英語と数学だけは予習してたんです。国語の授業中には、いつも教科書の先の方ばっかり読んでました。そういう科目はそこそこ出来ていました。その理由がやっとわかった気がします。
教えるためのメソッドというのは色々あって、先生や講師になるための学校や勉強会があります。でも「教わり方」を、教わったことありますか? これって盲点だなと思いました。教わり方を知らないから、学べない人が大勢いるのです。
自分がわからない、できないのは、何処なのかをわかっていれば、質問したり、習うことができます。でも、それがわからないから、どうにもならないんです。
何かを始めようとするときに、先生に教わるという選択肢があります。その勉強なり技術なりを得意な先生に教わるというのは、とりあえずは正しい方法だと思います。その先生が言うとおりにやってみる、それで少しずつできるようになる → 楽しくなる → 続けられる。というのが理想的なパターンです。
でも、そうならないこともたくさんあります。しばらくやってみたけど、上手くならないとか、そもそも先生の感じが悪いとか。すぐにやめてしまう人が結構多いのじゃないかしら。だったら、違う先生に習ってみればいいのに。他の人にとって良い先生でも、自分にとっては良くないとか、逆の場合もあるし、そういう比較をしてみない人が多いのかなぁ。
教わっていることが良くわからないのは、教わる側ののせいじゃなくて、教える側の問題ということが多いのです。なのに、「それって、どういうことだか、わたしにはわかりません。わかるように教えてください。」と言っちゃいけないと思っている人が結構いるようです。
学生時代に、先生から教わっても理解できなかったことが、友達の説明でわかるようになったことが、よくありました。先生になるような人って、その分野が得意な人ですから、わかる人目線で来るんですよね。だから、「わからない人の気持ちがわからない」という事が起きやすいのかもしれません。
この本を読んでもはっきりとした結論は出なかったのですが、わたしなりに出した結論は「わたしにわかるように教えて」と言えることこそが「教わる力」なのだということです。それに答えてくれないのなら、その人は先生ではないってことです。そうしたら、別の人なり、別の方法を探すこと、それしかないなぁと思います。
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