『どうせあの世にゃ持ってけないんだから』 和田秀樹 25-332-3728
日本は1990年代の半ばから30年間、ほとんど成長していません。その理由は、生産力が足りないからではなく消費が足りないからです。そういう意味では、生産しないのに消費だけする高齢者は日本にとって非常にありがたい存在です。
ややもすると、高齢者は医療費や介護費などで負担をかける社会のお荷物として扱われます。今年(2025年)団塊の世代が全員75歳以上となって、日本の人口の5人に1人が後期高齢者になる見込みです。~中略~ 彼ら高齢者は行動経済成長期をけん引し、バブル期も経験していますから、買物をするにも目が肥えています。言ってみれば消費上手な世代です。だから消費不況で低迷する日本社会を変えうる存在になると考えているんです。P118
もし仮に自分の要望をちゃんと理解してくれて、その医者の言うことを聞いていると体調がいいのであれば、出してくれる薬を飲んでもいいでしょう。医者には話しにくいという患者さんはたくさんおられますが、ただ言われるままに服用して、体調が悪くなっているのに何も言えず、その薬をさらにお金を払って飲み続けるというのは賢い人のすることではありません。
P154
和田さんは医師として高齢の患者さんたちを大勢見てらっしゃいます。そのなかで感じているのは、子どもに財産を残してしまうと、それが元で子どもが真面目に働かなくなったり、遺産争いで兄弟げんかをしたりと、ろくなことにならないということです。下手にお金があるばかりに親が入ろうとしている老人ホームを「もっと安いところにしろ」と強要したり、「自宅で介護をするから遺産を全部よこせ」なんて言い出す人たちが多くて、その醜い争いを起こす原因は、親が子供にお金を残そうとすることなのだと痛感してらっしゃるのだそうです。
自分たちが稼いだお金は、基本自分の代で使い切るということが大事だと和田さんはおっしゃっています。旅行でも、趣味でも、とにかく自分がやりたいことにお金を使うべきだし、それを「いつかそのうちに」なんて思っていてはいけないのです。60代なら大抵のことはできます。70代で元気なら、まぁまぁやりたいことができます。でも、80代から先は身体がついてきません。だから、少しでも若いうちにやりたいことをやっておくべきだと力説されているのです。
でも、そんなことをしていて、老後資金がなくなったらどうするの?と不安になる方も多いでしょう。それに対しては、「日本人は心配性すぎるし、それを助長する情報ばかりが世間に溢れている」とおっしゃいます。そして、どうしてもお金が無くなったら、生活保護という手もあるのだから大丈夫!
生活保護には「扶養は保護より優先する」という決まりがあるため、生活保護の申請をした人の親族には援助ができるかどうかを確認する「扶養照会」はあります。しかし、この扶養照会には強制力がないので断ることもできます。親族がいてもいなくても、生活保護は受給できるのです。
生活保護受給者は、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いが原則免除されます。介護保険料については、加入義務がありますが、生活保護費から保険料分が支給される形で実質的な負担はありません。
「生活保護は”国民の権利”ですから、堂々と申請すればいいのです」と和田さんはおっしゃいます。生活保護を受けることより、下手にお金を残して子どもたちに争いの元を作る方が、はるかに迷惑なのだというのです。
「お金を貯めただけでは幸せにならない」「やっと、お金を使おうと思える頃になったら、お金を使う目的がなくなっているか、身体が言うことをきかなくなっている」というお話が、この本の主題なのですが、これは他人ごとではないんです。自分の身に当てはめて考えてみると、グズグズしている暇なんかないと思えてきました。
ちなみにですが、わたしの両親が亡くなって、葬儀をして家を片付けて、結局残ったのは20万円くらいでした。実にアッパレだなと思いました。これが理想かなぁ。
3732冊目(今年332冊目)
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