『私の彼女と女友達』 チョ・ウリ 25-323-3719
この著者の説明に「女性、クィア、労働に関心を寄せて執筆している」とあった。まさにその通りの短編集でした。
主人公の女性たちは、みんな悩みを持っています。一緒に暮らしているのに、どうにもわかり合えないパートナーの事とか、上司のパワハラや訳の分からないカスハラ客、働く気があるのかないのかわからないバイトの子、何でこんなことに気を使わなければならないのかにイライラしています。
そのイライラの原因のほとんどは、自分がないがしろにされているという怒りと、それを言っても分かってもらえないという諦めからなのです。「もうイヤ、やめてやる!」と言ってしまえば終わるはずだけど、仕事をなくしたり、恋人をなくしたりするのは嫌だもの、言えるはずないじゃない、ということろがつらいんです。
この本のタイトルにもなっている「私の彼女と女友達」の、主人公のいら立ちって、なんだかわかるなぁ。パートナーの友達との関係って、距離感が掴めないというか、何考えているかわからないと身構えてしまうんですよね。でもね、家族とか親戚みたいに切るに切れない関係よりは、他人の方がずっと楽なんじゃないかしら。彼女たちのような同性カップルの場合でも、女友達は割と好意的だと思うし。
・私たちがハンドルをつかむとき
・11番出口
・ミッション
・私の彼女と女友達
・ねじ
・物々交換
・ブラック・ゼロ
・犬五匹の夜
「性別がない」というのもクィアに含まれるのですが、だとしたら老人もそれに含まれるんじゃないかなぁ。生物学上はオスとメスに分けられてしまうけど、精神的には「どっちでもない」という境地になるのが正しい老い方なんじゃないかと、最近思うのです。そういう人が増えたら、無駄な諍いも減るんじゃないかしら。
3723冊目(今年319冊目)
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