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『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティー 25-326-3722

アクロイド殺し
The Murder of Roger Ackroyd

アガサ・クリスティー
Agatha Christie

羽田詩津子(はた しずこ) 訳

ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 3

英国 1926

2025年 早川書房創立80周年記念フェア『ハヤカワ文庫の80冊』

 村の名士であるアクロイド氏が殺されました。彼の養子であるペイトン氏が行方不明で、警察は彼を容疑者として探していたのに見つからず、この事件は迷宮入りかと思われていました。このままではいけないと考えたフローラ・アクロイドが、この村にポアロが住んでいることを知り、捜査をお願いしたのです。

 死体の第一発見者でもあるシェパード医師と共にポアロは灰色の脳細胞を働かせていくのです。

 

「女性というものは驚くべき生き物なのです」とポアロは一般論を持ち出した。「彼女たちの行き当たりばったりに何かを思いつく ー しかも、それが奇跡的に正しいのです。しかし、実は奇跡ではないのです。女性は無意識のうちに無数の些細なものを観察しています。しかも、本人はそのことを自覚せずに。女性たちの潜在意識は、そうした些細な事柄を一つにまとめあげます ー その結果が、いわゆる直感と呼ばれるものです。このわたしは人間心理を熟知しているので、そうしたことがわかるのです」

 シェパード医師は冷静で真面目な男ですが、同居している姉のキャロラインは噂好きな中年女性で、村中の噂話をしゃべりまくっています。それを苦々しく思っている彼に、ポアロはやんわりと姉の話をバカにしてはいけないと語りました。おまけに、姉と仲良く話をしているじゃないですか。この関係が後で生きてくるとはねぇ。アガサ・クリスティーという女性作家だからこその展開だと思いました。

 この小説が発表された当時、結末に対して賛否両論だったそうですが、それほどクリスティー作品が注目されていたということだったのでしょうね。

 ヘイスティングさんが結婚してアルゼンチンへ行ってしまったこともあり、探偵を引退したポアロはこの村で小さな家に住み、畑仕事を楽しんでいたのです。でもこの調子だと、このあとで引退は撤回されたのでしょうね。

3726冊目(今年322冊目)

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