『ABC殺人事件』 アガサ・クリスティー 25-330-3726
ABC殺人事件
The A B C Murders
アガサ・クリスティー
Agatha Christie
堀内静子(ほりうち しずこ)訳
ハヤカワ文庫 クリスティー文庫11
英国 1936
2025年 早川書房創立80周年記念フェア『ハヤカワ文庫の80冊』
アルゼンチンで暮らしているヘイスティングズが一時帰国しており、ポアロを訪ねてきました。ポアロは、ヘイスティングズが戻ってくるという事は、何か事件が起きるのではと予測していたと話すのです。そして、彼が見せてくれた手紙は、ABCと名乗る人間からの、殺人を予告する挑戦状だったのです。
そして、その挑戦状の通り、アンドーバーでアッシャー夫人が、べクス昼でミス・バーナードが、チャーストンでクラーク卿が殺されたのです。それぞれの事件の被害者の関係者の証言を集めながら、ポアロは少しずつ真相に迫っていきます。
ヘイスティングズは記録者としての立場もありますが、わたしたち読者の代表でもあるのです。ポアロがどうしてそんなことを言い出すのか?どうしてそんなことを想像できるのか? 自分にはちっともわからないと、何度もポアロに言っています。それは固定観念に縛られていると見えないものがたくさんあるのだと言います。でも、たまにポアロはこんなこともいうのです。「あなたが何の気なしに話す事が、真実を知るヒントになる事もあるのです」
ポアロの素晴らしさは、その観察眼ですよね。誰かに質問をしたときの本人の表情はもちろん、それを聞いている周りの人間の表情や態度を観察しています。彼がイギリス人ではなくベルギー人であるという所も、上手い設定ですよね。フランス語圏の人は、女性のドレスとか、ヘアスタイルとか、香りなどを褒めることで相手の心を掴むことが上手いです。それだけ観察眼が鋭いということなのでしょう。どんな装いをしているか、どんな話方をするか、で身分や仕事を想像できるし、褒めることで話が弾む、そういうことの積み重ねが推理につながっているのだろうなと思います。
権威に弱い男性たちは、小柄な外国人であるポアロのことを、彼の正体を知るまではバカにするような人もいますが、そういう思い込みがある人ほど、後で恥ずかしい思いをするのにね。それこそ、恋人や奥様から「あなたって、何も気がつかないのね」と、いつも言われてるんだろうなぁ。
ある女性の発言に、顔色を変えた男性がいたことに気がついたのはポアロだけでしたもの。
3730冊目(今年326冊目)
« 『プリニウス Ⅵ』 ヤマザキマリ、とり・みき 25-329-3725 | トップページ | 『小さな神のいるところ』 梨木香歩 25-331-3727 »
「海外 小説」カテゴリの記事
- 『ニッケル・ボーイズ』 コルソン・ホワイトヘッド 26-21-3780(2026.01.22)
- 『地下鉄道』 コルソン・ホワイトヘッド 26-12-3771(2026.01.13)
- 『スタイルズ荘の怪事件』 アガサ・クリスティー 26-16-3775(2026.01.17)
- 『ABC殺人事件』 アガサ・クリスティー 25-330-3726(2025.11.28)
- 『私の彼女と女友達』 チョ・ウリ 25-323-3719(2025.11.21)
「文庫フェア」カテゴリの記事
- 『地下鉄道』 コルソン・ホワイトヘッド 26-12-3771(2026.01.13)
- 『ABC殺人事件』 アガサ・クリスティー 25-330-3726(2025.11.28)
- 『サーキット・スイッチャー』 安野貴博 25-317-3713(2025.11.15)
- 『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティー 25-326-3722(2025.11.24)
- 『青い眼がほしい』 トニ・モリスン 25-311-3707(2025.11.09)
« 『プリニウス Ⅵ』 ヤマザキマリ、とり・みき 25-329-3725 | トップページ | 『小さな神のいるところ』 梨木香歩 25-331-3727 »




コメント