『筒井康隆自伝』 筒井康隆 25-358-3754
「この自伝は極力、自分が見聞きし体験したことに限っている。」
この言葉通り、ご自身の幼少期から現在までの記憶に残ることを書いてらっしゃいます。それにしても、すごい記憶力だと感心するばかりです。若い頃に自分をいじめた人とか、ウマが合わない奴とかの実名をバシバシ書いているところが、いかにも筒井さんらしいです。いじめられた方は一生忘れないけど、いじめた方は何にも覚えてないって、よくあることだからこそ、ハッキリ言いたいんだろうなぁ。
2024年に自宅で倒れてから1ヶ月間入院していた病院の酷さは、こりゃ実名を大きい声で言うべきだなと思いました。放っておいたらここで死んでいたかもしれないんですから。
一人称が「おれ」である文章は、まるで「おれに関する噂」のようで、にやにやしながら読み進みました。
学生時代は演劇にのめり込んでいたことや、就職後は自分や兄弟の作品を世に出すためには、既存の出版社をあてにはできないと、NULLという同人誌を出していたことなど、知ってはいたけれど、改めて、いろいろやってたんだなと感心してしまいました。
同人誌でも誰か凄い人が1人読んでくれたら、それをきっかけに世に出られるだろうという筒井さんの発想は当たりました。江戸川乱歩がその人でした。江戸川乱歩は「新青年」や「宝石」で、様々な作家を紹介した凄い方なんですよね。
結婚に踏み切った理由はもう一つ、生計の目途がついたことだ。しばらく前からTBSテレビのアニメ「スーパージェッター」のシナリオに参加していたところ、ライターに著作権料が支払われることになった。
これは初めて知りました。当時のSF作家は小説だけではなかなかお金にならなかったから、アニメの力は大きかったのですね。
筒井さんは、あの悪夢のような入院生活からリハビリを経て、現在は高級老人用マンションで奥さまと暮らしています。そんな90歳の時の姿を、TVのドキュメンタリー番組で見たときには、ホッとしました。そして、9月24日で91歳になられました。この自伝のあとがきに「今後自伝に書くような大きな変化はないと思う」とおっしゃってますけど、まだ執筆活動は続けられるようですから、まだまだ何かを起こすかもしれないと期待しております。
3754冊目(今年358冊目)
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