『持続可能な魂の利用』 松田青子 25-344-3740
政府は国を畳もうとしている。
国を畳むためには、人口を減らすしかなかった。表向きは民主国家として機能させながらも、人口を減らすには、生みたくない国をつくり上げる必要がある。
もともと「おじさん」に牛耳られ、出産や子育てに対する社会保障や整備が遅れていたことが幸いした。政府は、その遅れを、さらに後退させた。
世界で日本だけが取り残されようとも結婚する女性から名字を奪い、「家内」とう言葉通り母親になった女性をそれまでの仕事や生活から引きはがし、家の中に閉じ込める。
そして今、世界中で「おじさん」によって運営されてきた世界が衰退し、危機に瀕している。それはつまり「おじさん」のつくったルールが間違っていたという事だ。進化論を出すまでもなく、生存を脅かす種は淘汰されてきた。ならば人類の生存を脅かす「おじさん」が絶滅すべきだったのに、ここまできてしまった。もう後戻りのできないところまで。
最初の方は日本独自のアイドル論か、それとも非正規の悲痛な叫びか、と思わせておいて、最後は「おじさん」が日本を、世界をを滅ぼすというディストピアな話になっていくところが凄い。
未熟な女子アイドルだけを見ていたいという思考は、それこそがおじさん目線から生まれたものだから、「恋愛禁止」なんて下らないルールが許されてしまう。会社で働く若い女性だって、未熟でおじさんの言う事を素直に聞く子でいて欲しいから、そうでない女性のことを排除しようとしてくる。このままでは、まともな社会に変えることはできない。だったら、これまでは支配側だった「おじさん」に消えてもらおうっていうこの話、なんだかスカッとする。
少子化って、そうなっちゃったのではなく、そう仕向けられたことだって考えると、なんだが妙に合点がいくのよね。だって、あらゆるシステムがそっちへ向かっているんだもの。急に少子化になったわけじゃなくて、ずっと前から今の状態って想定されていたはずでしょ。「おじさんたち」は、それでいいって思ってたんじゃない?
そんなことを考えさせられてしまう、とってもブラックなお話でした。
3740冊目(今年344冊目)
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