『うらぎり長屋』 高瀬乃一 25-347-3743
「ちょいと厄介な長屋でね。なに、幽霊や化け物が出るってんじゃない。お店名は『裏霧長屋』って名だ。隣にこぎれいな霧左衛門長屋ってのがあってな。その裏にあるから『うらきり』って名だ。だけど、人はこう呼ぶよ」
江戸で生きづらくなった人が行き着く「うらぎり長屋」ってね。
うらぎり長屋には、元々は普通の長屋に住んでいたのに、何らかの事情があってお金がなくなってしまい、やってきた人ばかりです。大工だったり、簪職人だったり、まっとうに働いていたのに、博打で借金をこさえたとか、棟梁と喧嘩をしてしまったとか、何か大きなしくじりをしてしまった人が集まってきています。
ここには陽もささず、道はいつでもぬかるんでいます。雨漏りはするは、ちょっと乱暴にたたけば壁に穴は開くは、ボロボロの長屋ですけど、それでも、家があるだけまだましな方。ここを追い出されたら野垂れ死にだなって、みんなわかっているんです。
それぞれの家に住む人たちには、それぞれがここへ辿り着くまでの物語があって、あの時にどうして?という後悔があって、いつかはここから出ていきたいという夢があるんです。
第一話 ひと時雨
第二話 心恋(うらごい)
第三話 風穴
第四話 長屋すずめ
第五話 鳥の影
第六話 熟柿(じゅくし)
第七話 花かんざし
貧乏な男たちには、悪い仕事の誘いがやってきます。それで少しでも楽になれるならって思ってしまうからなのか、そんなことをしたら後が怖いってことを忘れてしまうのです。女たちから、そっちへ行っちゃいけないと言われても、気がついたときには取り返しのつかないことをしてしまいます。
この長屋がある「本所入江町」は現在の住所だと「墨田区緑4丁目」、家から徒歩5分くらいの所でビックリしました。物語の中で何度も登場する「時の鐘」は、今はモニュメントとして残されています。大横川と堅川が交差するあたりとか、新辻橋とか、いつもわたしが散歩しているあたりじゃないですか。江戸時代にはこの辺りから両国や浅草まで歩いていくのは普通の事でした。
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