『細長い場所』 絲山秋子 25-352-3748
この本の中で絲山さんが描く人間は「生きていない人」みたいな気がする。「死んでしまった人」のちょっと手前の、あの世へ行く渡し舟に乗るための待合室にいるような感じがする。だから、今と過去と夢が混ざっているような不思議な感じ。
「何かわからないことを誰に聞けばいいのかわからない」けど、「聞いたところでどうになるでもなし」って思っていて、だけど、店の前で並んでいる人を見ると、その後ろに並びたくなってしまうような、自分の身の置き所を探している人が、この本の中に大勢登場しています。
いつものような「我が道をいく」人が登場しないことに不安を感じてしまいます。もしかして絲山さん、死を意識するようなことがあったのかなぁ?
第1章 翼とゼッケン
第2章 気配と残像
第3章 第三の庭
第4章 木に咲く花
第5章 夜明けの斜面
第6章 閉ざされたキャンプ
第7章 水と異者(けなもの)
第8章 わたし
第9章 過去は夢
人間が少しずつ弱体化して、今のような傍若無人なことができなくなっていく世界も描かれているんだけど、そういう未来があるかもしれないと思うと、なぜかホッとするわたし。そういうケリのつけかたができるなら、それはそれでいいと思えるのです。
3748冊目(今年352冊目)
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