『ゴールデンカムイ 鶴見篤四郎の宿願』 伊吹亜門、野田サトル 25-353-3749
「日露戦争の最中、陣中で起こった事件を鶴見が解決するミステリ」という、ゴールデンカムイのスピンオフ作品依頼が出版社からあり、伊吹亜門さんが書いたこの作品。そうです、あの「ゴールデンカムイ」の敵役「鶴見篤四郎」が主人公なのです。
物語を語るのは、「帝国陸軍第七師団歩兵第27聯隊(れんたい)鶴見小隊」の部下たち、谷垣、菊田、宇佐美、尾形、月島、懐かしい面々です。日露戦争の代激戦地、旅順の二百三高地を攻略しようと、彼らは戦っています。ロシア軍と戦うなかで、幽霊話があったり、謎の殺人事件があったり、その謎を「鶴見中尉」が解いていきます。
第一話 幽霊歩哨 《谷垣源次郎》
ロシア兵との死闘が続く二百三高地。死んだはずの兵士が歩哨に立つという。
第二話 白い日本兵 《菊田杢太郎》
ロシア兵の間で、「白い日本兵」の噂が広まっているという。白い日本兵は銃弾に当たっても死なずにロシア兵へ向かってくる。
第三話 羽二重天幕の密室《宇佐美時重》
二百三高地での戦いも大詰めを迎えようとしている。宇佐美は捕虜の尋問をするための天幕の設置を命じられた。
第四話 時にはやさしく見ないふり《尾形百之助》
奉天でロシア軍への包囲攻撃をかけた陣中、日本兵が何者かに次々と殺害されていく。
第五話 鶴見篤四郎は惑わない《月島 基》
小城閣下が前線の視察に来るそうだ。こんな危ない場所へ、なぜやってくるのだろう。
乃木将軍率いる日本軍は、二百三高地(旅順)を陥落し、その勝利は大きく報道され、何と「二百三高地」という女性の髪形が流行るほどの、喜びようだったのです。(千と千尋の神隠しの湯婆婆がこの髪型をしてます。)
遠く離れた日本では、勝った勝ったと喜んでいるだけですが、実際に戦っている兵士たちは命がけであるだけでなく、食糧事情の悪さや寒さで、かなり疲弊していたようです。彼らを案じている鶴見中尉は、実はいい上官なんだなと感じるシーンが多かったです。
そして、日露戦争の現実を知る鶴見中尉が、後に「ゴールデンカムイ」に参戦する意味が、この小説に込められていたのです。
いやぁ、面白かった!
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